アニメーターを目指している方に向けて、アニメーターになるにはどうすればよいのか、必要な資格・スキルなどを解説します。仕事内容や平均年収についてもまとめてあるので、職種を研究中の方もぜひ参考にしてください。
目次
- 1.アニメーターの主な仕事内容
- 2.アニメーターの年収
- 3.アニメーターの求人・案件について
- 4.アニメーターに必要な知識・スキル
- 5.アニメーターの資格
- 6.アニメーターになるには
- 7.アニメーターに向いている人
- 8.アニメーターの需要・将来性
- 9.アニメーターのキャリアパス
- 10.フリーランスのアニメーターとして働くには
1.アニメーターの主な仕事内容
アニメーションの動きは、1秒につき24コマの絵を繋ぎ合わせることで生まれます。アニメーターの仕事は、その1コマ1コマの絵を描くことです。すなわち、絵に命を吹き込む仕事とも言えます。昨今のアニメーション業界ではデジタル化が進んでおり、作画と彩色などの仕上げが同じソフトで行われることも珍しくありません。そのため、アニメーターが仕上げなどの作業を任される可能性もあります。
アニメーターには「原画マン」と「動画マン」の2種類があり、原画マンの仕事はシーンごとにポイントとなる「原画」を描くことです。ものによって異なりますが、30分につき約300カットの原画が必要になります。動画マンの仕事は、原画の間を繋ぐ絵を描き、アニメーションの動きを滑らかにすることです。基本的に新人は動画から始めることが多く、2年ほど経つと原画も任されるようになります。
アニメーション制作の流れ
まずスポンサーやプロデューサーが企画を行い、アニメーションのテーマ・ターゲット・制作費・制作スタッフなどを決めます。その後、脚本家・監督がストーリーの構成を行い、アニメーションのベースであるシナリオが完成します。
次に、シナリオに基づいて、監督や演出家らがカット割り・カメラワークなどを設定します。それらを簡単なイラストと文字で起こしたものが「絵コンテ」です。絵コンテに沿ってより具体的な要素(おおまかな背景や人物・物体・カメラの動きなど)を設定したものが「レイアウト」で、レイアウトの完成によってアニメーションのイメージが明確になります。
ここからは、アニメーターの仕事である作画工程です。まずは原画マンが絵コンテ・レイアウト・設定資料などを基にキャラクターや物体を描きます。動かない背景部分の作画は、基本的に「背景美術」という役職の仕事です。原画マンは動きの始まりと終わりの絵を描き、その間に何コマの絵を繋ぐかを考えて、動画マンに回します。
動画マンは対象をどのように動かすか考え、原画と原画の間を違和感がないように繋げます。アナログ作画の場合、原画をクリップで固定してトレースしながら、少しずつポーズや表情を変えていきます。デジタル作画の場合、原画をコピー&ペーストして必要な部分のみ変更することが可能です。
作画監督のチェックが終わったら仕上げに彩色を行い、1コマずつ動画と背景を重ねて撮影します。そこに声優のアフレコ、効果音の追加など様々な編集を加えたら、アニメーションの完成です。
ゲーム業界における「アニメーター」との違い
ゲーム業界において「アニメーター」と呼ばれているのは、「モーションデザイナー」という別の職業です。モーションデザイナーはゲームキャラクターのCGモデルに、アクションや表情などの動きを追加します。アニメーション業界の「アニメーター」は「描くこと」が基本業務であるのに対し、ゲーム業界の「モーションデザイナー」は「動きをつけること」が仕事です。
モーションデザイナーについて詳しく知りたい方は、以下の記事をチェックしてください。
モーションデザイナーの仕事内容から案件提案まで
2.アニメーターの年収
JAniCAの『アニメーション制作者実態調査報告書2019』によると、アニメーション制作者の平均年収は、約440万円です。こちらはアニメーターだけではなく、絵コンテや作画監督、背景美術などの職種も調査対象に含んでいます。300万未満で働く人も多く、労働条件が良いとは言えない現状ですが、人手不足やデジタル化などの影響もあり、待遇は改善傾向にあります。
アニメーターの報酬は出来高制が多く、固定給や基本給が設定されている会社は少ないです。動画1コマで250円、原画1カット(画面が切り替わるまで)で4000円というように、コマ・カットに対して何円という形で支払われます。効率が悪いと報酬が低くなってしまうため、新人には厳しい環境でしょう。
以下の金額は、サイト内の単価診断ツールにて「ブランクなし」での経験年数別の単価目安から算出した、フリーランスのアニメーターの年収目安です。そのため、会社員の給料、年収とは単純比較できない点にご留意ください。
実務経験に基づく年収の目安(週5日作業の場合)
・アニメーター(実務経験1年未満 )の年収:300万円(28万円/月)
・アニメーター(実務経験1年~2年)の年収:336万円(32万円/月)
・アニメーター(実務経験2年~3年)の年収:384万円(36万円/月)
・アニメーター(実務経験3年~5年)の年収:420万円(40万円/月)
・アニメーター(実務経験5年以上 )の年収:540万円(45万円/月)
※上記の金額は目安であり、実際のお支払い額はご自身の経験/スキルなどにより変動します
3.アニメーターの求人・案件について
アニメーターの求人・案件はアニメ業界やゲーム業界までさまざま。以下ではアニメーター向け求人・案件の特徴を紹介します
募集している職種・仕事内容
アニメーターの仕事は、「アニメーター」のほかに「イラストレーター」「UIデザイナー」「2Dデザイナー」「グラフィックデザイナー」などの職種名で募集されていることがあります。検索キーワードを「アニメーション制作」などにすれば、より広い範囲の求人が探せるでしょう。仕事内容はテレビアニメの制作のほか、ゲームのオープニングに使用するアニメーション制作や絵コンテの作成などがあります。
雇用形態は業務委託(フリーランス)が多いです。長期間のプロジェクトを委託される場合、月給制が採用されることもあります。そのほか派遣の仕事もあり、こちらは時給制が多くなっています。
応募資格は特定のツールを使えることが必須
求人によってはPhotoshopやIllustrator、スプライトアニメーションツール(Spine、SpriteStudioなど)の使用経験が必要です。実務経験、アニメーション制作経験などがあると、応募できる求人の幅が広がります。未経験者の募集も少ないながら存在しますので、よく探してみてください。
4.アニメーターに必要な知識・スキル
アニメーターになるには、何を学び、どのようなスキルを身につければよいのでしょうか。
アニメーターに必要な知識
アニメーターには、人や動物の筋骨格、物の構造、パースなどに関する知識が必要です。作画の基盤を作る原画マンに対し、動画マンは動きをつけることがメインになるため、人や動物の骨格がどうなっていて、どのように動くのかといった構造理解が大切になります。図鑑や周囲の観察などを通して、日頃から学んでおきましょう。また、アニメーターとして働くにあたって、日常的に使う用語も覚えておいた方がスムーズでしょう。
アニメーターに必要なスキル
アニメーターに必要なのは、絵を描くスキルです。立体的で正確な絵を描くためのデッサン力や、原画をトレースする模写力などは、作画を担当するアニメーターにとって最も重要な要素と言えます。アニメーションによって描くものは異なりますので、どんなモチーフにも対応できるように練習し続けることが大切です。
また、昨今のデジタル化により、デジタルソフトの使用スキルが問われるようになりました。Photoshop・Illustrator・CLIPSTUDIO・SAIなどのグラフィックツールや、RETAS STUDIO・Toon Boom・TVPaintなどのアニメーション制作ツール。Sprite Studio・SpineなどのスプライトアニメーションツールやMayaなどの3DCGソフトと、種類はさまざまです。希望の会社や業界が求めるスキルをリサーチし、習得を目指しましょう。
5.アニメーターの資格
アニメーターになるために必須の資格は特にありません。しかし、以下の資格は持っているとスキルの証明になるため、余裕があれば取っておきましょう。
・アニメーション実技試験
・画像処理エンジニア検定
・CGクリエイター検定(2D・3D・アニメ理論)
・色彩検定(彩色業務を担当する場合は有用)
資格を取得していても画力がなければ、アニメーターとして就職できるとは限らないのが現状。作品集を作成し、自分の能力を効果的にアピールすることが必要です。アニメーターとして働くためにはデッサン力が必須となるため、日頃から芸術に触れる機会を積極的に設け、常に向上心を持って知識・技術を磨くことが大切だといえます。
6.アニメーターになるには
ここでは、アニメーター志望者が辿る主な進路を紹介します。
専門的な学校でスキルを身につける
アニメーターになるには、アニメーション専門の学校や美術系の大学に通うのが一般的です。専門学校ではアニメーション制作に関する座学や実践的授業が取り揃えられており、2~3年の短い期間で格段にスキルアップできます。また、就職先を紹介してくれる学校もあるため、就活にも有利です。美術大学や他大の芸術学部では、大卒の称号を得られ、アニメーション以外にも視野を広げられるなどのメリットがあります。
学校に通わなくても、アニメーターは独学で目指すことも可能です。求められている水準の描画能力があれば、充分に雇ってもらえる可能性はあります。しかし効率的にスキルを身につけるには、専門的な学校のカリキュラムに沿った方が確実でしょう。
アニメーターとして就職する
テクニックやスキルを習得したら、会社に提出するポートフォリオ(作品集)を作りましょう。今まで描いた多様なキャラクター、背景をはじめ、作画スキルをアピールするためのアニメーション、パラパラ漫画なども材料になります。
アニメーション制作会社には元請け・下請け(グロス請け)・専門スタジオの3種類があります。元請けはアニメーションの企画から制作まで自社で行う会社で、下請けは元請けから依頼された話数のアニメーションを制作する会社です。専門スタジオはCG・仕上げ・音響など様々な専門分野に特化した業務を行っており、アニメーターは作画の専門スタジオで働くことになります。
7.アニメーターに向いている人
アニメーターに向いているのは、以下のような要素を含む人です。
絵を描くこと・アニメーションが好き
アニメーターは1日中絵を描き続ける仕事なので、絵を描くことが好きな人でなければ難しいでしょう。特に、ジャンルを問わず「描くことが楽しい!」という人は向いています。一人で何十枚何百枚と担当することもあるため、根気や忍耐力も必要です。
また、アニメーションが大好きで、絵を動かしてみたい、作品に自分の名前を残したいという方もアニメーターに向いています。好きという気持ちはテクニック上達の後押しになりますし、自分の名前を掲げる仕事には自ずと責任感が生じるものです。
仕事仲間と連携して作業ができる
アニメーターは監督や演出家らの指示に沿って作画を行います。自分の描いた原画や動画が上司のイメージとずれている場合は、修正を要求されることもあるでしょう。その際、指摘を素直に受け入れ、即座に改善する柔軟性が大切です。また、仲間同士のコミュニケーション能力が高い人もこの仕事に向いています。なぜなら作画中は、アニメーター同士で相談し合うこともあるからです。作画担当者の意見をすり合わせることで、作品全体のまとまりやクオリティを向上させることができます。
8.アニメーターの需要・将来性
日本のアニメ文化は盛り上がりを見せており、世界中のアニメーションの6割が日本で作られているそうです。そのため、アニメーターは世界に進出できる仕事とも言えます。テレビアニメや映画アニメだけでなく、CMやネット動画などにもアニメーションが起用されており、アニメーターは需要と将来性のある仕事です。
しかし低賃金・長時間労働という過酷な労働環境の下では、日本が誇るアニメーターの技術継承が滞る危険性があります。今後は制作効率の良いデジタルアニメーションへの移行が進み、待遇も改善される見込みですので、経過を注意して見ていきましょう。
需要のある人材
デジタル化に伴い、デジタルソフトを利用できる人材の需要が高まっています。2D、3D、動画編集などあらゆるソフトを習得しておけば、様々な分野のアニメーション制作に携わることができるでしょう。デジタルソフトの使用経験は、アニメーター以外のキャリアパスにも役立ちます。
近年市場が伸び続けているゲーム業界も視野に入れておきましょう。アニメ業界よりも待遇がよいので、ゲームデザイナーとして活躍している人も多いようです。
9.アニメーターのキャリアパス
アニメーターの実務を経験した後は、様々なキャリアパスを描くことが可能です。
作画監督(チーフアニメーター)に昇進する
作画監督(チーフアニメーター)は、アニメーターによる作画を統括する仕事です。原画を見て作画に統一感があるか確認したり、動画の動きやキャラクターの表情が自然かどうか確かめたりして、必要があればアニメーターに修正指示を出します。作画は基本的に複数のアニメーターが担当するため、人によって絵柄の雰囲気などが偏ってしまいがち。そこで作画監督が全体を見渡し、一つの作品にまとまりをもたせます。
アニメーターとしての経験が役立つという意味で、作画監督へのキャリアアップは堅実な道と言えるでしょう。
別の職業に転職する
アニメーターで培った作画能力やデジタルソフトの使用経験を活かして、イラストレーターやグラフィック関係の仕事に転職することも可能です。アニメーション制作に関わる仕事で言えば、背景を描く背景美術、配色を決める色彩設計・色指定、実際に色を塗るペインター、納期やスケジュールを管理する制作進行などがあります。
フリーランスとして独立する
会社で雇用されていたアニメーターの場合、経験を武器にしてフリーランスとして独立することも可能です。会社時代の人脈を辿ったり積極的に自分の作品を発信したりすることで、良い仕事のチャンスをつかむこともできるかもしれません。
アニメーターとして働いてみて、アニメーションを一から作りたいと感じた方は、監督として作品を作るのも良いでしょう。監督はアニメーション制作における総責任者で、シナリオ、絵コンテ、演出などあらゆることに関わります。作画以外の工程も理解する必要があるため、難易度は高いですが、自分の思うようにアニメーションを作れるという点ではとても魅力的な仕事です。
10.フリーランスのアニメーターとして働くには
アニメーターは、業務委託のフリーランスとして働く人が多い職業です。会社で経験を積んだ後に独立する人もいれば、実力をつけて未経験からフリーランスになる人もいます。一度就職してから独立するメリットは、実務経験必須の求人・案件に応募できることと、スキルが身についているため効率よく仕事ができることです。
大切なのはスキルを磨くこと
フリーランスのアニメーターとして働くためには、とにかくスキルを磨くことが大切です。実務を通して、あるいは独学でも構いません。作画能力またはデジタルソフトの使用経験さえあれば、未経験でも採用してもらえる可能性が高まります。日頃から努力を怠らないようにしましょう。
働き方を考える
一口にフリーランスといっても、働き方は様々です。在宅で仕事をするのか、会社に通って作画を行うのか、仕事のペースはどの程度か、など、まずは自分に合った働き方を考えましょう。その後、求人サイトやクラウドソーシングサイト、フリーランス専門の就職エージェントサービスなどを利用して、条件に合った案件を探してみてください。
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