Qモーションデザイナーになるには、どんなスキルを身につければ良いでしょうか?
まずは、CGソフトの操作スキルが求められます。加えて、モデルをより本物らしく動かすため、人体や動物、物体等の構造についての知識も必要です。また、キャラクターの個性を動きで表現する必要があるため、演技に関する知識も求められます。
目次
1. ゲーム内のオブジェクトに躍動感を与える仕事
2. モーションデザイナーの仕事内容
3. モーションデザイナーになるために身に着けたいスキル
1. ゲーム内のオブジェクトに躍動感を与える仕事
モーションデザイナーは、CGデザイナーの中でも「キャラクターや背景の動き」を担当する職種です。モデラーが作成したオブジェクトに実際の動き(アニメーション)をつけます。
2Dゲームを担当する場合は「2Dモーションデザイナー」、3Dゲームを担当する場合は「3Dモーションデザイナー」と呼ぶこともあります。
キャラクターのモーションをつける場合、まずはシナリオやそのキャラクターの性格をみて、表情や動きの特徴、癖などを考えます。そして実際のCGモデルに演技をさせます。
ちょっとした挙動でキャラクターの個性が変わって見えてしまうので、いかにそのキャラクターらしく活き活きとした動きをつけられるかが、モーションデザイナーとしての腕の見せ所です。
また、攻撃モーションなどは「どのような攻撃にするか」をディレクターと相談し、作り上げていきます。3DCGの場合は360度どこから見ても違和感のないモーションに仕上げる必要があります。
キャラクターモーションのほかにも、背景の自然物の動きやカメラワークの設定も担当することがあります。ただし、これらの作業は専門性が高く、データ量を考えながら最良の動きを再現することが必要です。そのため、大企業の場合は各作業が分業化されているケースがあります。
2. モーションデザイナーの仕事内容
モーションデザイナーの仕事内容は、大きく分けて「リギング作成」「モーション作成」「実装」の3工程です。
リギング作成
キャラクターをより自然に動かすため、可動部を中心に「リグ」と呼ばれるパーツを組み込む作業です。モーションのクオリティを上げるための重要な工程です。
モーション作成
まずは、ゲームプランナーをはじめとした各職種と連携し、用意するモーションを決めたり、コンテ作成を行います。その後、キャラクター設定に応じて攻撃モーションをつけたり、イベントシーンの作成を行ったりします。
実装
モーションデザインデータの実装作業は、プログラマーと連携して行います。また、この工程にはエフェクトデザイナーも同席します。
3. モーションデザイナーになるために身に着けたいスキル
必要なスキル
プロのモーションデザイナーは、以下のようなスキルを備えています。
ソフトの使用スキル、経験
3DCGであれば「AfterEffects」「Maya」「3ds Max」「SoftImage」といった3DCGソフト、2DCGであれば「Spine」「Live2D」などの2DCGソフトの使用経験・スキルが必要です。
また、画像編集ソフトの「Illustrator」「Photoshop」「Clip Studio Paint」等のスキルもあると良いでしょう。
本物のように再現できるスキル
モーションデザイナーは、モデラーが作成したモデルを「本物に見えるよう」自然に動かす必要があります。
そのため、まずは「人体の構造や骨格、筋肉の動き等についての知識」を持っている必要があります。観察力を磨くため、上記の勉強と並行してデッサンの技術も磨くと良いでしょう。
また、キャラクターをより「本物の人間」らしく動かすためには、キャラクターの心理状態から出る仕草や、生い立ちから出る癖などもモーションに反映する必要があります。
そのため、「演技に関する知識」があると、より活き活きとしたモーションをつけることができます。
魅力的に見えるような動きを生み出す発想力
そのキャラクターがより魅力的に見えるような動きを生み出すための発想力が求められます。特に3DCGの場合、ユーザーが全方位からキャラクターを観察することができます。そのため、どの角度から見ても自然に、それでいて魅力的なポーズや動きになっている必要があります。
熟練のモーションデザイナーは、どう動かせばよりそのキャラクターの魅力を引き出せるのかという発想力に長けています。また、その引き出しも多いのが特徴です。
コミュニケーション能力
ゲーム開発全体で見ると、モーションデザインは中盤の工程にあたります。また、モーションはゲームの面白さの根幹になる重要な要素です。
そのため、プログラマーやエフェクトデザイナー、プランナー、ディレクターなど、幅広い職種と打ち合わせを重ねながら作業を進めていきます。
自分の考えや感覚を言語化するのは難しいことですが、感性が大きなウエイトを占めるデザインであればなおさら難しいもの。「こうしたい」が相手にしっかりと伝わるまでコミュニケーションを取る力が求められます。
モーションデザイナーに向いている人は?
モーションデザイナーに適性のある人はどのような特徴を持っているのでしょうか。
以下でチェックしてみましょう。
観察するのが好きな人
モーションデザインは、いかに「本物らしく」表現できるかが重要な作業です。人体や物体の動きを観察するのが好きな方は、モーションデザイナーとしての素養があります。
映像作品や舞台全般に興味がある人
プロのモーションデザイナーには、ゲームのテイストに合わせて、様々なモーションが作れる能力が求められます。そのため、映像作品や舞台そのものが好きで、日ごろからアニメ、演劇、洋画など幅広い映像作品に触れている人は、モーションデザイナーとしての素地があるといえるでしょう。
流行に敏感な人
ユーザーに楽しんでもらえるゲームを作るためには、ユーザーのニーズに寄り添うことも必要です。人気のデザインや流行の作品に詳しければ、ユーザーニーズにより近いキャラクターを生み出すことができます。
細部までこだわり、もくもくと作業に熱中できる人
神は細部に宿るといいますが、キャラクターをリアルな人間として動かすためには、そのキャラクターの基本の立ち姿から心理描写、ちょっとした癖までこだわり抜いて動きをつける必要があります。
人を楽しませるのが好きな人
CGソフトの扱いが上手くても、ユーザー目線で開発ができなければ、ユーザーに楽しんでもらうことはできません。人を楽しませることが好きで「どうしたらもっと楽しいと思ってもらえるか」「どうしたらユーザーの感情を動かせるか」を意識しながら作業を行えると強みとなるでしょう。