Webデザイナーとして独立することに興味はあるものの、仕事はうまく取れるのか、未経験や独学でもできるのかなど、人によって気になることはさまざま。失敗したらどうしようと不安になる人もいるはず。そこで本記事では、Webデザイナーが独立するために必要なことや、現役フリーランスの事例を紹介します。
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目次
- 法人?個人?Webデザイナーとして独立する選択肢
- Webデザイナーとして独立することのメリット・デメリットは?
- 未経験でも独学で独立できる?
- Webデザイナーが独立するために必要なスキルは?
- 現役フリーランスWebデザイナーの事例を紹介!
- まとめ
法人?個人?Webデザイナーとして独立する選択肢
Webデザイナーとして独立すると一口にいっても、形態はさまざま。法人化して仕事を請け負うパターンもあれば、個人事業主として仕事を請け負うパターンもあります。
個人事業主とフリーランスの違いは、厳密にいうと開業届を出しているかどうか。働き方という見方では、法人を設立せず個人で仕事を請け負うのはどちらも同じです。
本記事では、「独立」=「フリーランスとして会社に属さず個人で仕事を請け負う働き方」という前提で話を進めます。
Webデザイナーとして独立することのメリット・デメリットは?
次に、Webデザイナーとして独立することのメリット・デメリットについて解説します。
自由にできることが多い!働いた分だけ収入も増やせる
フリーランスの醍醐味は、なんといっても自由なこと。働く時間も場所も、引き受ける案件も自由です。また、自分が引き受けた分だけ報酬が積み重なっていくので、収入を増やしやすいのも魅力。
自分のスキルアップに繋がる案件や、自分が実現したい目標に近づくことができる案件だけを受注することができるので、効率よく自分の成長に向かって邁進することができます。
また、会社に属す上で避けられない人間関係の煩わしさや、理不尽な上下関係に苦しむことも少ないため、割り切った関係の中で仕事をしたい人にもおすすめです。
すべて自分次第!仕事が取れなければ収入もゼロ
一方で、フリーランス最大のデメリットはすべて自分次第であること。案件を取ったり、事務・経理の処理を日々行ったり、何もかも自分で管理しなければいけません。
働く時間や場所が自由な分、自分でタスクや時間のマネジメントを徹底する必要があります。セルフマネジメントが苦手な人には、軌道に乗るまでややハードルの高い道のりになる可能性が高いでしょう。
また、案件をうまく受注できなかったり、体を壊して働けない日が出てしまうと収入がゼロになることもあります。
請ける案件を選べるのはフリーランスのメリットですが、十分なスキルや経験を持っていることが前提。駆け出しの場合は、案件がなかったり、単価が低かったりすることも念頭に置いておきましょう。
未経験でも独学で独立できる?
Webデザイナーとして企業で経験を積んだり、スクールで技術を学んだりしていない全くの未経験であれば、フリーランスで仕事を受けるのは難しいでしょう。
Photoshopなどのツールで簡単な作業ができる場合には、クラウドソーシングでバナー作成や画像加工といった簡単な案件を引き受けることは可能です。ただし単価は1件につき1000円程度であることが多いので、これを継続していくことはおすすめできません。
フリーランスWebデザイナーとして本格的に仕事をしていきたいのであれば、制作会社で実務経験を積むか、自分でWebサイトやアプリを作成するなど実績を積んでからにすべきです。
「知っている」と「できる」はまったく別物。知識があるだけでは心もとないので、実務経験のあるWebデザイナーをクライアントは求めています。
Webデザイナーが独立するために必要なスキルは?
これから独立を目指す人のために、身につけておくべきスキルについて解説します。
Webデザインの基礎知識
Webデザインをするときに必要な基礎知識も不可欠です。たとえば、Webサイトのレイアウトを考えるときに視線の流れを考慮したり、購買に繋がるボタンに使う配色を工夫したり、さまざまなセオリーがあります。
また、Webデザインの基礎知識はもちろん、エンジニアやディレクターと会話ができるだけのIT知識も必要です。分からない言葉が出てきた都度、検索するわけにもいかないので、よく出てくる言葉は理解しておきましょう。
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関連記事:Webサイトの定番レイアウトパターン6選【サイドバーデザインも!】
Photoshopなどの基本的なデザインツール
Webデザイナーの仕事に欠かせないデザインツールは必ず使いこなせるようになりましょう。Photoshop・Illustrator・Dreamweaverの3つはおさえておくべきです。
Photoshopは画像を加工するのがメインのツール。画像の切り取りやリサイズだけでなく、バナーの作成にも使用します。
Illustratorは、ロゴやアイコン、イラストパーツの作成を行うもの。Webデザイナー自らイラストを描く必要があるわけではなく、あくまでもIllustratorを使ってロゴやアイコンをデザインするのが仕事です。
Dreamweaverは、Webページのデザインデータを元にコーディングする段階で活躍するツール。コーディングの作業を効率化してくれるものです。Dreamweaverがあれば、プレビューでページを見ながらコーディングを進めていくことが可能で、世界標準のソフトとして使用されています。
HTML・CSS・JavaScriptの知識
コーディングを理解していていないと、実現できないデザインを作成しまうことにつながるので、最低限HTML・CSS・JavaScriptは習得しておきましょう。
自らコーディングしなければいけないというわけではなく、デザインをするためにコーディングの知識が必要だと考えればOK。コーダーがスムーズに実装できるデザインかを考慮できれば、最低限のラインでは問題ありません。
コーディングの知識がなければ、実装しづらかったり、思うようなデザインに仕上がらなかったり、動的な要素のデザインが漏れていたり、ミスやトラブルにつながります。
自分で完璧に記述ができなくても、どのコードがどんな役割をもたらすかは理解しておきましょう。
ときには報酬や納期の交渉も!コミュニケーション能力
自ら営業をして案件を受ける以外でも、コミュニケーション能力はさまざまなシーンで必要です。
ときには仕事をうまく断らなければいけないときや、価格の交渉が必要なとき、クライアントを納得させなければいけないときなど、相手の状況を見て臨機応変なコミュニケーションが必要なシーンはさまざま。
クライアントと良好な関係を築くことができなければ、仕事は任せてもらえませんし、信頼も得られません。フリーランスとはいえ仕事は人と人とで行うものなので、社会人として恥ずかしくないコミュニケーションが取れるようにしておきましょう。
プラスアルファのスキルで単価UP!
最近では、デジタルマーケティングとWebデザインは切り離せない関係にあります。ユーザーの行動を分析し、ABテストでサイト改善を繰り返し、最もクライアントの成果に繋がりやすいデザインはどれかを見出していくのも重要な仕事です。
デジタルマーケティング以外にも、プロジェクト全体をディレクションすることができれば、報酬もUPします。言い方を変えると、簡単なデザインは安価で依頼できたり、AIが自動でやってくれたりするため、今後需要は減っていくことが予想されます。
そのためにも、Web制作全般を理解し、プロジェクトそのものの進行全体を担えたり、成果を出すためのデジタルマーケティングができるWebデザイナーを目指しましょう。
関連記事:Webデザイナーに必要なスキルは?【スキルアップの方法も解説】
現役フリーランスWebデザイナーの事例を紹介!
ここからは、現役のフリーランスWebデザイナーに伺った、独立までにやっておくべきことをご紹介します。
ケース1:Yさん(男性/フリーランス歴1年)
デザイナー歴は12年。5年間の正社員、6年間の派遣社員を経て独立。Webデザインだけでなく、アパレルデザインやイベントの企画なども経験。
「デザインの本質」を意識する
Yさんは派遣時代から、Tシャツなどのアパレルをはじめとした、様々な分野のデザインに挑戦しているそうです。Webだけにとらわれないことが、自分の可能性を広げると考えているからです。
「Webの世界は常に進化しているので、たとえば10年後にWebサイトがいまの形で残っているとは限りません。それならWebデザインに特化して考えるよりも、多方面にアンテナを張って、デザインの本質を意識した方がいいと思います。特にこれからフリーランスWebデザイナーとして独立を考えるのなら、時代やトレンドが変わっても通用する感性を磨いていく必要があります。」(Yさん)
コーディングを手打ちできるようにしておく
フリーランスになると、意外と多いのが客先に出向いてのPC作業。普段、特定のツールだけでWebデザインをしていると、客先のPCにそのツールが入っていない場合に対応できなくなります。
「私は、独立前からコーディングはテキストエディタだけで行うようにしてきました。行った先でできませんでは、フリーランスとしてクライアントの信用を得られませんよね。そのため、ツールに依存しないスキルを身につけておくと、結果的に対応力が高まって自分の武器になりますよ。」(Yさん)
ポートフォリオは常に更新する癖をつける
これからフリーランスWebデザイナーとして独立するなら、当然ポートフォリオサイトは必須です。けれども、単にサイトをつくって終わりでは不十分。Webデザインの世界は、トレンドの変化や技術革新のサイクルが目まぐるしいので、常にポートフォリオサイトを更新するという心構えが必要です。
「ポートフォリオサイト自体を凝ったつくりにする人もいますが、私はGoogleドライブを活用しています。Googleドライブは、何といっても簡単に更新できるところがいいですね。ときにはポートフォリオを持ってきてと言うクライアントもいますが、Webは解像度が低いので、紙に印刷すると画像が荒くなって印象が良くありません。持ち歩く場合でも、タブレット端末でサイトを表示することをおすすめします。」(Yさん)
ケース2:Iさん(男性/フリーランス歴1年)
webデザイナーとしての実績を積むため、派遣とフリーランスを兼ねたスタイルを選択。現在は知人とチームを組み、徐々に完全独立へとシフト中。
独立前の助走として派遣を利用する
フリーランスWebデザイナーとして独立を考える人にとって最大のネックは、会社員の間はフリーランスとしての経験が積めないということですよね。そこでIさんは、派遣とフリーランスの兼業をする時期を設け、独立前の助走期間に充てたそうです。
「私は営業が得意なタイプではないので、派遣先で自分の仕事を見てもらうことは、フリーランスで活動するための人脈作りにも繋がっています。様々な案件を経験できますし、派遣先で多くの人と接触すれば、最新技術や業界情報などが自然と入ってきて、リテラシーを保つことにも繋がります。安定した収入を確保するという意味でも、派遣期間を設ける意味はあると思います。」(Iさん)
一緒にやっていける仲間を見つける
Iさんがチームを組んでいるという知人はすでに事業主になっていて、将来的には共同での法人化を目指しているとのことです。
「信頼できる友人とチームを組む利点は、独立に向けて前向きになれるだけではありません。得意分野の違う人と組むことで、お互いに苦手分野を補い合うことができ、自分ひとりでは対応できない仕事も断らずに済みます。私はコーディングが得意ですが、その得意分野をうまく生かすことにも繋がると考えています。法人化を目指す理由は、個人よりも信用が得られやすく、結果として案件の受注も増えるからです。これからフリーランスWebデザイナーデビューを考えるなら、頭の片隅で法人化を意識しておくといいですよ・」(Iさん)
自分がやりたいことを独立の原動力に
自分の時間を自由に管理できるのは、フリーランスで仕事をすることの大きな魅力のひとつ。もちろん、受注案件の全責任をひとりで負うわけですから、勤務時間が決まっている会社員よりもオンオフの切り替えが難しい場面もあるでしょう。とはいえ、趣味や将来の夢に向けた時間をつくりたいという人にとって、独立はがんばる原動力になるようです。
「私はサーフィンが趣味で、フルタイムの仕事をしていた頃は、自分の行きたいときに海に行けないという不満がずっとあったんですね。それで、自分で時間を管理できるフリーランスに惹かれました。土日に案件の対応をしなければいけないこともありますが、そこは考え方です。Webデザインの場合、ノートPCがあればどこにいても仕事はできますし、フルタイム勤務より時間の融通が利くのは間違いありません。今はそういう気持ちの切り替えができています。」(Iさん)
ケース3:Hさん(女性/フリーランス歴7年)
結婚・出産後にWebデザイナーを志し、クリエイター系の学校へ進学・卒業して就職。3人目の子どもができたことを機にフリーランスとして独立し、現在は法人化も果たしている。
ディレクター的な視点を持つ
クリエイター系の学校を出て最初に就職したweb制作会社では、Webディレクターとして勤務していたというHさん。このときの経験が独立の際に役立ったといいます。
「フリーランスWebデザイナーとして独立したいなら、単にデザイン力を磨くだけでなく、スケジュールや予算などの知識も身につけておくべきです。Webディレクター経験があると、こうした案件管理の力もつきますし、クリック率やコンバージョン率、業界トレンドといったことに自然と意識が向き、それらをふまえたWebデザインを考えるようになります。私自身、ディレクション経験があったことが、独立を決断した大きな理由の一つでした。自分から積極的にディレクションを志願したり、その機会がない人もWebディレクター的な視点で仕事をしたりするといいですよ。」(Hさん)
「NO」と言わない心構えを
フリーランスWebデザイナーになると、会社員時代以上にコミュニケーション力や対応力の高さが重要になります。Hさんは、修正依頼があった際には即座に対応できるよう、常にノートPCを持ち歩いているそうです。さらに、予算や日程の面で無理な注文があっても単に断るのではなく、代替案を提案してクライアントの要望に応える努力をすると言います。
「『修正は何回まで』といったように機械的な対応をするのではなく、できるだけ相手の希望を叶えられるように、あらかじめ余裕をもったスケジュールを組むなどの工夫をしています。そうやってこちらが真摯に対応し、お互いに気持ちよく案件を進めることができれば、クライアントからは『また頼みたい』と思ってもらえます。やる気があるということをしっかり行動で示し、信頼関係を築こうとするのは、フリーランスWebデザイナーとしての基本だと思います。」(Hさん)
ウェブ以外のデザインも勉強しておく
Webデザインで意外とよくあるのが、紙媒体の仕事とセットでの発注です。Hさんの場合は、クリエイター系の学校でDTPの基礎についても学んでいたことが役立ったそうです。
「たとえば新しい商品の特設サイトを立ち上げるときに、製品パッケージのデザインを頼まれることがあります。印刷解像度や入稿方法など、紙媒体の基本的な知識だけでも持っておくと、仕事の幅が広がります。器用な人は重宝されるので、WebデザイナーだからといってWebのことだけをするのではなく、デザイン全般について学ぶという意識を持っておくといいですよ。」(Hさん)
まとめ
業界や技術の発達により、Webデザイナーに求められるスキルは今後ますます変化していくことでしょう。独立して自分で案件を受けるようになっても、需要のあるWebデザイナーになるため、幅広いスキルを身つけておくことをおすすめします。
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