デッサン力を鍛える5つの方法を解説イラスト上達のコツとは?

デッサン力を鍛える5つの方法を解説イラスト上達のコツとは?

デッサン力が上がらないと悩んでいませんか?そもそもデッサン力の鍛え方はあるのでしょうか?この記事では、デッサンの重要性からデッサン力を鍛えることでどんなメリットがあるか、またデッサン力の鍛え方のコツを紹介するので、参考にしてください。

目次

デッサンが上達しない悩み

イラストを描く上で、ポーズが決まらなかったり構図に違和感があったりして悩むことはありませんか?そのようなときに「デッサン力」があれば、と思う人は多いでしょう。また、そもそもデッサンが絵の上達に繋がるのか分からない、写実的なイラストじゃないのにデッサンは必要なのか?と感じている人もいるのではないでしょうか。

なぜデッサン力が重要なのか?

美術系大学を目指したことがある人は、必ず基礎でデッサンを学びますが、独学でイラストを描く場合には、自分で意識しなければデッサンを勉強する機会はないかもしれません。

しかし、イラストを描き始めると必ずといっていいほど、自分のイラストや構図の不自然な部分に悩むことになるでしょう。そこで重要になるのがデッサン力。絵を描くことの基礎であるデッサン力を鍛えることは、自分の表現の幅を自由に広げてくれる助けになります

近年はデジタル化も進み、さまざまなソフトを使用することも増えましたが、デッサン力が上がると、アタリの取り方から影の付け方、人物の筋肉の描写、人物だけではなく背景や付属する物の存在感にもデッサン力の技術は生きるのです。

クリエイティブに関するものづくりの基礎が、デッサン力を磨くことで手に入れることができるといっても過言ではありません。

そもそもデッサンとは何か

では、そもそもデッサンとは何なのでしょうか?「dessin(デッサン)」の語源はフランス語で、英語では「drawing(ドローイング)」が似た意味であり、日本語では素描とも訳されています。

デッサンは、材料や技法にとらわれることなく、印象をそのまま表現する技術です。紙と鉛筆、またはペンタブでもデッサンは可能です。

例えば、目の前にある洋ナシと紙コップを組み合わせたデッサンをするとします。洋ナシは薄緑色と熟して黄色の部分があるかもしれません。また、形は上が細く下が丸い花瓶のような形をしています。その形は凹凸も複雑で、ところどころブツブツとした表面をしています。

紙コップは上の縁と下の底は円の大きさが違い、縁が丸まっているのも分かるでしょう。両方の物体が合わさるところに影ができていたら、その影の濃淡や付き方も違うかもしれません。

実際にこれを自分で描いてみると、奥行きや影の付き方、果物と紙の質感の違いに悩んでしまいます。これだけの情報を平面の紙に落とし込むのは、とても難しいと思うでしょう。動かない物体でさえこれだけ難しいことを考えると、人物や動物の表情を生き生きと描くのは、さらに難しいと感じます。

しかし、これらの情報はデッサン力を鍛えることで、対象物を正確に描くことができます。3次元(立体)のものを2次元(平面)として、写真のように描き記すことができるのです。

デッサン力を鍛える5つの方法

デッサンの大切さとデッサン力を鍛えることで表現できるものについて紹介しました。それでは、ここからはデッサン力を鍛える具体的な方法について見ていきましょう。どれも当たり前に思うかもしれませんが、意外とできていないことも多い基本的な方法です。

1.モチーフをよく観察する

一番大切で、よくいわれている方法は「観察すること」。ただ見るではなく、よく見て観察することです。自分ではよく見ているつもりでも、モチーフを的確に捉えるための観察は足りていないこともあります。

人間は対象物を先入観で捉えていることが多いもので、よく見ると影にもさまざまな色が付いていたり、まっすぐと思っていたものがへこんでいたりすることもあります。石膏像は白いと思っていますが、紙の白さとは違います。人物の髪の毛は黒いと思っていても、全ての部分が同じ黒さではないものです。

モチーフの先入観や思い込みをなくし、客観的に観察すること、あらゆる角度から観ることがデッサンの入り口といえます。

2.シンプルな形から始める

デッサンをする際、何か描きたいものがあることはいいことです。しかし、これからデッサンを学ぼうと思うならば、まずはシンプルな形から始めることが大切です。例えば、ボールのような球体や箱のような立方体がよいでしょう。可能であれば石膏のような単一色が望ましいですが、なければ身の回りにあるもので十分です。

シンプルなモチーフを用意できたら、形をよく観察し、デッサンしてみましょう。球体をフリーハンドで正円に描いたり、箱の輪郭の直線を描いたりすることは、慣れないとかなり難しいはずです。また、物を描くために輪郭が必要ですが、実際の物体には輪郭はありません。それを影と色の表現で描き分けます。

このような簡単な図形から始めることは、もっと複雑な形を捉える前段階と考えましょう。シンプルな形で納得のいくデッサンができるようになることも、デッサン上達に欠かせません

3.輪郭(線)ではなく面と影で捉える

デッサンは対象の形状を面で捉えることが大切です。例えば、イラストを独学で進める人がよくやるのが、人物をアウトライン(輪郭線)で描き、対象物を線で描こうとすることです。実はこれには限界があるといわれています。

立体物は面の集まりで構成されており、質感や奥行きがありますが、線だけでは表現ができません。また、当たり前に思いますが物体には必ず影が生まれます。影が生まれるのは光が差しているからですが、光は基本的に一方向から差してはいないため、影の濃淡がうまれるはずです。

このように立体の質感を生むためには、線ではなく面と影で捉えた方が描きやすいことが分かります。物体と空気の接点を表現するのに線を使いがちですが、線がくっきりしたデッサンは、客観的に見てみると不自然に感じるでしょう。

また、面と影は、手前と奥では表現が変わります。このような部分を突き詰めていくことで、物体のデッサン力が鍛えられるのです。

4.反転させてみる

鏡を使って反転させてみることも、パースの狂いを発見するのに有効です。ペンタブを使ってデッサンしていれば簡単かもしれませんが、紙と鉛筆を使っているならば鏡に写してみましょう。

反転してみると、例えば球体を描いているつもりが、片方にせり出していることが分かったり、コップの上部と下部の楕円がずれていたりすることがあります。自分ではまっすぐの線を描いているつもりでも、反転することで歪みに気付くことができるのです。

パースやグリッド線があれば比較的歪みにくいため、練習ならば実際に画面に引いてみることも、自分のくせや歪みが分かりやすいでしょう。これもモチーフの客観視に役立ちます。

5.写真だけでなく、できれば実物を見て描く

身近なものを描く場合に、写真を模写することもあるかもしれません。これも悪くはないですが、できれば実物を実際に見て描くことがよいでしょう。それは、写真は空間を2次元に写したものであり、切り取られた情報だからです。実物を前にして得られる情報は、写真と比べればはるかに多いことが分かるでしょう。

デッサン力を鍛えるには、物体をどれだけ観察できるか、納得のいくまで時間をかけて観て描くことが大切です。それには、写真のような平面の情報より、目の前にものがある方が情報を得やすいという利点もあります。自分でデッサン力が付いたと思えるまでは、できるだけ実物をデッサンすることがおすすめです。

くり返し描くことで身に付くのがデッサン力

目で見たものを、脳を通じて手で描くのは、簡単なようでとても複雑な作業です。そのため、自分の思うように描けるようになるのは、根気と努力が必要でしょう。スポーツと同じで、デッサンも毎日少しずつ続けることで、ものの見方が養われて、物体を平面に再現する感覚をつかむことが分かるようになります。

また、デッサンは重ねるごとにテーマを決めて取り組むことも訓練になります。単純な図形から始めたら、例えば果物を美味しそうに描いてみることや、コーヒーを温かそう・冷たそうに描いてみるなどです。

また、描いたものを別の人に見てもらい客観的な意見をもらうことも、表現に役立つでしょう。独学でデッサンを学んでいる場合は、短期講習やワークショップに参加して、他の人のデッサン表現に触れることも大切です。

デッサンには、実は「正しい描き方」というものはありません。デッサンの教本やワークショップなどでは説明があるかもしれませんが、自分のスキルアップのためであれば、どのように描いても、対象物を捉えることができればさまざまな描き方ができるのです。

デッサン力を鍛えることは、自分の表現力を広げることに役立ちます。それは、デッサンをする上で、ものを観察すること、客観視することが、自分の描きたいものに反映するからです。デッサン力を鍛えることは、どれだけやっても終わりはないと感じるかもしれません。

しかし、実際に描くことはできませんが、対象物が果物なら匂い、冬の木立なら寒さや空気など、イメージまで伝わるように描けることが、デッサンの1つの到達点といえるでしょう。そのためには、日々のデッサンの積み重ねが大切なのです。

関連記事:僕は独学でイラストレーターになった!素人→プロになるまでの絵を見せます
 

まとめ

デッサン力の鍛え方を紹介しました。デッサンを鍛える重要性は分かっていても、方法を知らなければできないものです。鍛え方のコツは、単純で誰でもできるものがほとんどですが、その基本を知った上で取り組むことで、デッサン力は確実に鍛えられるのです。その上で、日々積み重ねることが上達の近道といえるでしょう。

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