日本のアニメーターは待遇が悪い?アニメ業界の問題点と待遇改善の道とは

日本のアニメーターは待遇が悪い?アニメ業界の問題点と待遇改善の道とは
低賃金、過酷な労働環境と取り沙汰されることが多いアニメ業界。待遇が悪いといわれる日本のアニメーターですが、待遇が悪い原因はなぜなのでしょうか。本記事では、アニメーターの待遇がよくならない理由や、待遇改善のためにとるべき道について解説します。

目次

日本のアニメは海外でも人気

日本のアニメは海外でも人気の高いコンテンツですが、アニメーターの賃金の低さが問題になっています。低賃金にも関わらず、アニメーターを志望する人は多く、人気の高い職業です。

日本映画製作者連盟の「2020年全国映画概況」によると、2020年は新型コロナウイルスの影響で、世界的にも興行収入が半減した年でした。そんな中で話題となった「劇場版「鬼滅の刃」無限列車編」は、総興行収入517億円(2021年5月)という異例のヒットとなり、日本歴代興行収入1位だけでなく、2020年の興行収入世界第1位にもなっています。

また、邦画歴代ランキングを見ても、1位は「鬼滅の刃」が更新しましたが、上位はほぼアニメ映画が占めており、10位中8作品がアニメ映画。このように、国内、国外問わずアニメコンテンツは人気ですが、未だにアニメーターの待遇が改善したという話は聞きません。それどころか、アニメファンからもアニメーターの待遇改善が叫ばれる事態が発生しています。

日本と世界はこれだけ違う。平均年収と待遇を見てみよう

日本のアニメーターの賃金や待遇が低いとされますが、海外のアニメーターとでは平均年収や待遇がどのくらい違うのでしょうか。

日本のアニメーターの平均年収と待遇

まず日本から見ていくと、日本アニメーター・演出協会が調査した「アニメーション制作者実態調査報告書2019」によれば、アニメーション制作者の平均年収は440万円。

これだけ見ればしっかり稼げているように感じますが、アニメーション制作者の中には監督などの職業も含まれています。純粋なアニメーターだけで考えると、この水準よりも下がることが予想されるでしょう。。また、年収が250万円以下の割合は30.0%もあり、29歳以下の割合が33.1%なのを考えると、若年層ほど平均年収が低いという実態が見えてきます

海外のアニメーターの平均年収と待遇

海外でも人気のアニメですが、海外のアニメーターの待遇はどうなのでしょうか。ニューヨーク・タイムズ紙が日本のアニメーターの薄給を報じた記事によれば、アメリカのアニメーターの平均年収は7万5,000ドルで、日本円に換算すると約825万円になるといわれています。数字的には賃金が日本のおよそ2倍はある状況です

フランスのアニメーターは、月給がおよそ2500〜4500ユーロといわれており、年収で考えるとおよそ388万〜700万円ほどと考えられます。フランスはこの他にも、エンターテイメント領域で働く人向けの社会保障制度が充実しており、健康保険や年金、有給休暇など、フリーランスのような働き方をしていても保障対象になるそうです。

近年アニメーション制作が盛んな中国の求人サイトによると、平均月収が3万4,062元、日本円で52万円ほどになるとされています。中国のアニメ業界は、豊富な資金を使って中国企業が日本のアニメーション制作会社を傘下に置くことで、日本のアニメーターを雇用しクオリティを担保するなど、日本のアニメーターの待遇の悪さが逆手に取られる状況も生まれているのです。

アニメーターの雇用形態はフリーランスが多い

日本アニメーター・演出協会が調査した「アニメーション制作者実態調査報告書2019」によれば、正社員は14.7%、契約社員が6.0%に比べて、フリーランスは50.5%、自営業19.1%と、アニメーション制作者は圧倒的にフリーランスが多いことが分かります。

このことからも、業界全体の傾向として安定している正社員ではなく、フリーランスなどの個人事業主として仕事を請け負っていることがわかります

フリーランスであれば枚数や本数を描く出来高制。描けば描くほど収入になりますが、作業量を増やすにも限界があるため、収入を得るには拘束時間が増えるという悪循環に陥る状況も発生してしまいます。

日本のアニメーターを取り巻く環境はなぜ過酷なのか

それでは、なぜ日本のアニメーターはずっと過酷な環境で仕事をしているのでしょうか。そこには日本のアニメ業界特有の構造と、アニメーター自身の問題も考えられることが分かってきました。ここでは、アニメーターを取り巻く環境の問題点を考えていきます。

日本のアニメ業界の問題

日本のアニメ制作の制作費自体が少ないという問題は「製作委員会」方式を取る、業界の資金調達が関係しています。出版社やTV局、スポンサーなどが出資する製作委員会は、それぞれの企業がアニメ制作会社の取り分を固定し、興行収入などの売り上げは製作委員会の利益としているケースが多いのです。

そのため、いくら映画やアニメがヒットしようと、海外での売り上げが増えようと、そもそも制作会社やアニメーターに還元される仕組みでありません。

アニメーターにとっては薄給の問題がある製作委員会も、別の側面からするとアニメ制作におけるリスクヘッジをする側面があります。制作するアニメがヒットするのは一握りであるため、出資会社が増えることで、1社に掛かるリスクを分散できるメリットがあるのです。

今の日本のアニメ業界の隆盛は、この製作委員会あってこそですが、日本のアニメ制作会社の赤字運営は約4割に上るともいわれています。この製作委員会の構造が、日本のアニメーターの待遇がよくならない理由の一つを形成していることは確実なのです。

アニメーター環境が悪くても、成り手は減らない

日本のアニメーターは、そもそも賃金が低いことが分かっていても、どうして働こうとするのでしょうか。それは、やはり「アニメが好きでアニメの仕事がしたい」という気持ちがあるからです。給料が低くても労働環境が悪くても携わりたいという気持ちで働いている人が少なくありません。

日本のアニメ業界の構造的な問題は近年顕在化しており、アニメーターの若手は技術力が向上しないまま、生活に追われ辞めていくことも増えています。アニメーターの平均年齢は高くなっている傾向がありますが、確かな技術を持ったベテランが育っていない現状も問題視されており、人材を育てる環境も資金も見出せないまま空洞化が起きているという声も。

それでも、若年層を中心にアニメーターを志望する人が多いため、人材不足に陥ることがなく、アニメ業界改善の兆しは未だ見えないままなのです。

給料が低すぎる!待遇のいい業界はないの?

日本のアニメーターを取り巻く環境は厳しいのが現状ですが、待遇は本当によくならないのでしょうか?

実は、アニメーターが活躍する業界はアニメ業界だけではなくなってきています。アニメーターとしてのスキルを生かして、ゲーム業界に転身する人も増えてきました

ゲーム業界は規模が大きく、成長性がある

ソーシャルゲームが流行し、急激な賑わいを見せたゲーム業界。今でも市場は右肩上がりで成長しており、ファミ通ゲーム白書2020によると、日本の市場規模は1兆7330億円。アニメ業界よりも圧倒的に大きな市場規模を誇っています。

今後はクラウドゲームが伸びていくと予想されており、まだまだ成長を続けるゲーム業界。市場拡大に伴い、アニメーターの需要も増えていくため、ゲーム業界に身をおく方が待遇はよくなることが想定されます。

アニメーターのスキルはゲーム業界にも活きる

アニメーターの作画スキルは、ゲーム業界ではどのように活かせるのでしょうか。例えば2Dの作画のみを担当していたアニメーターでも、使用ソフトなどの技術面さえカバーできれば、2Dデザイナーや3DCGアニメーターとして活躍できるようになるといわれています。

実際に、デザイナーなどは専門学校などでアナログ作画からデザイン技術を伸ばしてゆくことも多いですし、プライベートで3DCGソフトを使ったことがあるアニメーターならば、ゲーム業界への転職はそれほど苦になることはないでしょう。

作画をする元のイメージは変わらないため、ソフトさえ使いこなせればアニメーターの汎用性は高いといえます。

フリーランスに特化したエージェントを利用するのも手

アニメーターは、全体の半数の雇用形態がフリーランスや業務請負です。そのため、仕事を探すのは自分で行っていた人がほとんどでしょう。1作品ごとの契約や1コマいくらで仕事を請け負っている人が大半ですが、フリーランスに特化したエージェントを利用するのも有効な方法です

フリーランスに特化したエージェントとは、クライアント企業との間に立って仕事を紹介してくれる人材サービスを指します。

ゲーム業界に飛び込むにしろ、次のアニメーターとしての仕事を探すのにしろ、フリーランス特化型エージェントを利用すれば、自身の強みや実績を企業にアピールする営業を代行してもらえて、より条件のいい仕事先の紹介も行ってくれます。

また、万が一トラブルがあった場合も、間に立って対応してくれるため、条件の交渉が苦手と考える人にとっては負担が大幅に減ることもメリットです。フリーランス特化型エージェントを活用し、より自分が活かせる待遇を、自分で勝ち取って行くために役立ててみてくださいね。

まとめ

アニメーターの待遇の問題は、アニメ業界の構造などさまざまな要因があります。待遇の改善のためには、ゲーム業界へキャリアチェンジしたりエージェントを利用したりするなど、自分に合う方法を選んでみてください。

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