月あたり労働時間400時間超の新卒時代。約6年間の正社員生活を経てフリーランスへ

27歳女性エフェクトデザイナーが選んだフリーランスの道。「高単価に見合う価値を企業に提供したい」

C.T.

プロフィール

名前:C.T.さん
職業:3Dグラフィックデザイナー・エフェクトデザイナー
フリーランス歴:約1年
年齢:27
性別:女性

今回お話を伺ったのは、フリーランスのエフェクトデザイナーとして活躍するC.T.さん。専門学校卒業後、約6年間正社員として勤務した後にフリーランスに転向すると、生活面や仕事面には大きな変化が訪れたという。新卒で入社した会社では月400時間労働というハードな環境に身を置いてきた彼女が、どのようにして現在の働き方にたどり着いたのか、その全容についてお話を伺った。

※この記事は2016年12月時点の内容です。

田名部 千祐(たなべ ちひろ)さん

フリーランス エフェクトデザイナー C.T.さんの経歴

ゲームデザイン系の専門学校を卒業後、グラフィッカーとしてゲーム制作会社に就職。数年勤めた後、労働環境が厳しいことなどから転職するも2015年12月に退職。現在はフリーランスのエフェクトデザイナー兼2Dアニメーターとして、コンシューマからスマホ、ブラウザゲームまで幅広く手がける制作会社に常駐している。

長時間労働が慢性化していた新卒時代。転職後、さらなる収入アップを求めてフリーランスに

-フリーランスになる前のお仕事内容について教えてください。

専門学校を卒業する少し前からゲーム会社でアルバイトをはじめて、卒業後はDSや3DSソフトを制作するコンシューマ系ゲーム会社にグラフィッカーとして就職しました。

今思い返すと、相当ブラックな環境でしたね(笑)。入社してすぐに寝袋を渡されて、週に3回くらい泊まりで作業するのが当たり前の職場だったんです。その上に休日出勤あり、完全なお休みは月に2日あれば良い方で、月の勤務時間は400時間を超えていました。それでも給料は十数万円という薄給で…最終的に倒れて救急車で運ばれたことや、2011年頃からスマホ向けのソーシャルゲームが流行りだしたことなどから、今のまま働いていたら身体は持たないし仕事もなくなってしまうのではないかと危機感を感じ、転職しました。

-400時間勤務は壮絶ですね…。その後、転職された企業では労働環境は改善されたのでしょうか。

転職してから残業時間は大幅に減りました。出向先に常駐する形で働いていたので、現場によっては多少忙しいときはありましたが、泊まりで作業するようなことは一度もありませんでしたね。

-フリーランスになろうと思ったきっかけは何だったのでしょう。

収入面が、ひとつの大きなきっかけですね。

転職した先では、3dsMAXでのモデリングやUnityを使ったエフェクトの仕事もこなせるようになり、ゲームクリエイターとしての自信も持てるようになっていました。それで、今後のキャリアや収入について改めて考えるようになり、調べてみると現状のスキルがあれば正社員よりもフリーランスとして働いた方が収入は大幅に上がることがわかってきたんです。

また、ちょうど働き方を変えようと考えていた頃に私の母が倒れまして、一時期実家に戻って介護をしていたことがあるんです。会社員として働いていると、何かあったときに休みを取るのも仕事に復帰するのも大変だと思い、だったらいっそのことフリーランスになった方が私のライフスタイルには合っているのではないかと思いました。

 

-フリーランスに転向するに当たり、不安に思うことはなかったのでしょうか?

実は「フリーランスになるならぜひ来て欲しい」と声をかけてくれる企業があったので、フリーランスになっても案件を得られる目処は立っていたんです。だから、仕事面で特に不安に思うことはなかったですね。

-独立前に準備したことはありますか?

準備としては、フリーランスになるにあたって必要な手続きについて調べたり、書類を取り寄せたりしました。フリーランスになる上で1番不安だったのは事務手続きだったかもしれません。独立後の確定申告で損をしないように、開業届を出して青色申告を申し込むなど、基本的な手続きに漏れがないように気をつけました。

フリーランス転向後、収入は2倍に。仕事との向き合い方も大きく変化した

-フリーランスに転向してから、生活は変わりましたか。

変わりましたね。フリーランスになって本当によかったと思います。まず、受取単価は正社員時代の2倍になりました。税金や保険を自分で支払わなければならないので、実際の手取り額がそのまま倍になったわけではないですが、それでも正社員の頃とは比較にならないほど高い収入を得られるようになりました。

また、18時半には退社できるので仕事が終わった後にプライベートの時間を持つこともできます。これは会社員時代、特に新卒で入社したゲーム会社では考えられなかったことです。

-仕事をする上での意識に変化はありましたか。

それもすごくあります。正社員時代はふられた仕事をやるだけ、といった姿勢で働いていましたが、フリーランスになってからは変わりました。

参画先企業と直接契約をし、自分が納得するだけの単価を受け取っているわけですから、「この単価に値する成果を企業に提供できているだろうか」と常に考えながら仕事に取り組むようになりました。だから、制作がよりスムーズに進むように自分の意見をしっかり伝えますし、企業も私をクリエイターのプロとして受け入れてくれているので、私の考えを尊重してくれます。

また、もしも私の作業が契約時間通りに終わらなかった場合、企業は超過労働分の単金を追加で支払わないといけません(※)。ただでさえ高い単価を支払ってもらっているのに、自分の作業効率が悪いせいで追加のお金をいただくのは申し訳ないので、時間内に作業を終えられるように生産性を上げる工夫もするようになりました。

※契約内容により異なります。

-フリーランスに転向されてから、Tさんを取り巻く環境も、Tさんご自身の仕事に対する姿勢も大きく変化したということですね。

そうですね。企業はスキルがあることを前提にクリエイターと契約を結んでいると思うので、その期待に応えられるよう主体性を持って働くようになりました。

“新しいスキルの習得ができる現場”を求めてレバテックに登録

-最初の参画先に常駐して約7ヶ月経った頃、レバテックに登録してくださったそうですね。参画先を変えようと思ったのはなぜですか?

新しいことを学びたかったからです。当時の現場では自分の中で仕事がルーチンワーク化されてしまい、これ以上のスキルアップは望めないと思ったんです。

-レバテックではどのような条件で案件を探されたのでしょうか。

私のメインスキルはエフェクトなので、エフェクトデザイナーの案件かつ新しいスキルを学べる企業で、以前の参画先より単価が下がらないことを条件に探してもらいました。

たくさん提案していただいたうち、特に気になった3社の商談を設定していただき、ありがたいことに全ての企業からオファーをいただきました。

-参画先の決め手は何だったのでしょう。

今まで使ったことのないソフトに触れられる環境やディレクターのポジションなど、どの案件を選んでも新しい分野への挑戦ができるので非常に迷いました。単価で選ぼうとも思ったのですが、最初に低めの金額を提示していた企業も1番高い金額に合わせてオファーしてくださったので、本当に選べなくて。なので、最終的には「通いやすさ」を基準にしました。それくらい、どの案件も甲乙つけがたかったですね。

-現在はどのような作業を担当されているのでしょうか。

Unityのエフェクトデザイナーとして参画しているのですが、今はSpineやLive2Dを使って、1枚のイラストにアニメーションを付ける作業を多く担当するようになりました。

どちらも参画後に使い始めたソフトなのでまだまだ勉強中ですが、今までにない経験を積むことができるので楽しいですね。

担当しているプロジェクトのジャンルも様々で、自社ゲームの制作から受託のSpineやLive2D案件、カードゲームにVRなど幅広く担当させてもらっています。



Spineを用いた作品の制作過程。元画像(左上)をパーツごとに分けて描き足しを行い(右上)、組み立て直して骨を入れて動かす(下)。キャラのイメージを損なわないように動きをつけるのがポイントだそう。
【イラスト】みそらこ

 

-今回初めてエージェント経由で案件を受注してみて、レバテックとのやり取りの中で印象に残っていることはありますか。

スタッフのみなさんの対応がとても丁寧で助かりました。ちょっとした疑問や不安に思っていることにもしっかり耳を傾けてくれますし、レスポンスがとても早いです。ある時、数日間まるまる自主勉強に時間を費やせるほど着手する作業がない時期があって、もしかして仕事がもうないのかな?と不安に思ったことがあるんです。それを担当営業(フォロワー)さんに軽くチャットツールで尋ねてみたら、企業にすぐ確認してくれて回答をいただけて。その対応の早さにはとても驚きましたね。

メールではなくチャットツールで気軽に連絡がとれることや、担当の方とランチでお話しできる機会を設けてもらえるのもいいですね。すぐに相談できるので、心配事を抱え込まなくてすみます。

メインスキル+αの能力を身に付けることが、フリーランスの武器になる

-Tさんのフリーランスとしての今後の目標を教えてください。

正社員時代はあまり貯金できないことが不安だったので、フリーランスとして、この先お金の心配をしなくていいだけの収入を得続けたいですね。

そのためには、技術だけでなく対人スキルも向上させていかなければならないと思っています。今後、フリーランスとして様々な企業を渡り歩けばたくさんの人と関わりを持つはずなので、周囲の人とうまくコミュニケーションをとりながら円滑に仕事を進められる能力を身につけたいです。人間関係がこじれて仕事を続けられなくなるのが、私には1番つらいので。

-ありがとうございました。それでは最後に、今後フリーランスになろうか迷っている方に向けてアドバイスをお願いします。

いま会社員として働いていて、数年後のことを考えたとき不安になるのであれば、転職だけでなくフリーランスという働き方を選択肢に入れるのはありだと思います。今の会社で働き続けることでどのくらいスキルアップできるか、どのくらい給料が上がる見込みがあるかを考えて、自分にとってあまりプラスにならないと思うなら新しい場所に移った方がいいです。

-初めてのフリーランスだと「案件を安定的に受注できるだろうか」といった不安を抱えている方も多いと思います。そういった方はどのような行動を起こせばいいでしょう。

私も自分のスキルにすごく自信があったわけではないです。でも、「フリーランスになりたいけど自分に能力があるのか不安」だと思っている人がいるなら、自分のメインスキルに加えてもう1つ、別のスキルを身につけることをオススメします。

私の場合、もともとは3Dグラフィックデザインのスキルしかありませんでしたが、エフェクトの技術を身に付けたことで案件の幅が広がったと思います。何もメインスキルと同じレベルで使いこなせる必要はなくて、ちょっとでも使えるのであれば企業側は価値を見出してくれる可能性があります。

企業が求めているスキルは本当に多種多様なので、メインスキル以外にも使えるものがあるなら「今、●●を勉強中です」と前向きにアピールしたほうが、いい結果に結びつくのではないでしょうか。

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