36歳・UIデザイナー。育児をきっかけにハードワークな職場を離れ、フリーランスの道へ

企業常駐で働きながら、フリーランスとしての市場価値を高める

上田 恭兵

プロフィール

名前:上田 恭兵(うえだ きょうへい)さん
職業:UIデザイナー
フリーランス歴:1年2ヶ月
年齢:36
性別:男性

約8年間、アパレル事業を展開する企業のデザイン部門で、自社ブランドのwebサイト設計・制作を中心に行っていたという上田恭兵さん。スキルアップするにはよい環境ではあったものの、長時間労働の常態化や子どもが生まれてライフスタイルに変化があったことなどから、フリーランスに転向することを決めたという。

いずれは在宅フリーランスとして働きたいと考える上田さんが、現在は企業常駐型フリーランスとして働いている理由、この先長くフリーランスデザイナーとして活躍していくために必要だと思うことなど、広くお話を伺った。

※この記事は2016年10月時点の内容です

上田 恭兵(うえだ きょうへい)さん

フリーランス UIデザイナー 上田恭兵さんの経歴

専門学校卒業後、紙媒体のDTPデザイナー・グラフィックデザイナーを経験した後、webデザイナーに転身。女性向けアパレルブランドを展開する事業会社のデザイン部門にて、自社ブランドのwebサイトを中心に、デザインからコーディング、Flashまで幅広く担当する。2015年8月よりフリーランスに転向。現在は大手女性向け情報サイトのリニューアル案件に参画している。

子どもが生まれたのを機に、フリーランスになることを視野に入れ始めた

-フリーランスになる前のお仕事について教えてください。

前職はアパレル事業を中心に展開する企業のデザイン部門で、自社アパレルブランドのwebサイトを制作していました。専門学校卒業直後はDTPデザイナーやグラフィックデザイナーといった紙媒体の仕事をしていたのですが、当時勤めていた会社のwebサイトの運営をまかされたのをきっかけにwebデザインの面白さに気づいて、webデザイナーに転身しました。

前職では自社ブランドのwebサイト設計・制作を中心に行いつつ、受託で不動産関連のwebサイトも作っていました。アパレルはブランドのパンフレットからイメージを膨らませてサイトデザインを考えるのに対し、不動産の場合は要件に沿って一言一句ミスのないようにかっちりと仕上げることが求められるので、ひとつの会社で幅広いジャンルのサイト制作に携われたのはいい経験になりました。

-フリーランスになろうと思ったきっかけは何だったのでしょう。

きっかけはフリーランスwebデザイナーの友人に、仕事を手伝ってもらえないかと声をかけられたことですね。

前職には約8年勤めたのですが、友人に声をかけられたちょうどその頃に子どもが生まれ、外で共働きのまま働き続けるのは現実的ではないと思ったんです。だから、最終的には自分が在宅で仕事ができるようになれればいいなと思い、フリーランスになることを考え初めました。

前職は毎日終電での帰宅、土日出勤することもあるほど忙しい環境だったので、入社後3年あたりから、「ずっとこの会社で働き続けるのはやめよう」と考えるようになっていました。ただ、ハードワークではありましたが、いい経験をたくさん積ませてもらえる会社だったので、スキルアップのためにがんばっていた部分が強いですね。


いずれは在宅フリーランスになりたいとは思っていますが、まずは前職より作業時間が短くなる環境に身を置きたいと考え、企業常駐型フリーランスという働き方を選びました。今の参画先は10時19時で働いているのですが、時間外作業もなくとてもよい環境です。

-フリーランスになるにあたって、何か事前に準備されたことはありますか。

フリーランスになるとローンを組めなくなると思ったので、会社を辞める前に家を買いました。あとは、フリーランス転向後の商談をスムーズに進めるためにポートフォリオサイトを作りましたね。これをあらかじめ作っていたからこそ、退職後にタイムロスすることなく案件を受注できたと思います。

-反対に、もっとしっかり準備しておけばよかったと思うことはありますか。

フリーランスは自分の身体ひとつで勝負していく世界ですから、会社員時代にもっと自分の市場価値を高めておければよかったなと思いますね。

もちろん、会社員時代はスキルアップすることが大きなモチベーションになっていたので、今、目の前にある仕事に丁寧に取り組んできました。自分が手がけたサイトがYahooBuzzなどのメディアに取り上げられたこともあり、決してこれまで自分の価値を高める努力をしてこなかったわけではないのですが、振り返るともっとできることはあったのではないかと思います。

年収アップ・時間外作業なし・子育てへの理解。3つの希望をフリーランスになることで叶えた

-レバテックのことはどのような経緯で知ったのでしょうか。

web制作案件を紹介してくれるエージェントをネット検索したところ、レバテックに辿り着きました。レバテックのほかにも2~3社登録しましたが、実際に企業の商談に行ったのはレバテックのみですね。

-案件探しではどのような希望条件を提示されたのでしょう。

前職と比較して年収がアップすること、時間外作業がないこと、子育てに理解があることの3つですね。これらの条件を満たしてくれる企業を10社程度提案していただき、まず2社に応募して面談を受けました。ありがたいことに両方の企業からオファーをもらえたので、その内の1社に参画することを決め、現在も参画しています。だから、かなりトントン拍子で決まりましたね。

 

-参画先の決め手は何だったのですか。

辞退した企業はweb制作会社、参画を決めた企業は大手事業会社で、後者に参画すれば自分が今まで経験したことのない巨大なプロジェクトに携わることができると思ったからです。フリーランスになったからには、幅広い経験を積んで自分の価値を高めておきたいという気持ちがありました。

-レバテックとのやりとりの中で、印象に残っていることはありますか?

現在の企業に参画して1年が経った頃、単価UPの交渉をお願いしたのですが、とても迅速に対応してもらえたのがありがたかったですね。結果的にはこちらが出した希望には若干届かない形での単価UPとなり、担当の方はそれをとても申し訳なく感じてくださっていたようですが、こちらとしては満足しています。

また、少し話がずれるかもしれませんが、レバテックは事務的な負担が少ないところがいいなと思いますね。他のエージェント経由で参画している知り合いの中には、毎日エージェントに連絡を入れる必要があるところもあって。レバテックは月1回の書類のやり取り程度で済むので、適度な距離感で付き合えるのがいいですね(※)。

※契約・稼働状況により異なります。

現在は大手女性向け情報サイトの大規模プロジェクトで、UIデザイナーとして活躍

-参画先ではどのような案件を担当しているのでしょうか。

UIデザイナーとして、自社媒体である女性向け情報サイトのリニューアル案件を担当しています。非常に大きなプロジェクトで、リニューアルプロジェクトを始める社内向けのアナウンスにはじまり、作業内容を管理するためのスタイルガイドツールの作成など、リニューアルそのものに着手するまでの準備から担当させてもらいました。

サイトは長年修正を重ね続けて重くなっていたので、サイトデザインを変えるのも現状のソースでは対応できない状態でした。そのため、デザインをリニューアルするプロジェクト、ソースリファクタリングを行うプロジェクト、サイトレギュレーションに沿ってパーツを管理するプロジェクトの3つに分かれて進行しています。

UIデザイナーとして参画していますが、プロジェクトの設計やディレクションまで幅広く担当しています。最近やっと社内告知やスタイルガイドツールの作成が完了したので、実際のリニューアル作業に取り掛かり始めました。規模が大きいのでページごとに担当部署が分かれていて、うちの部署はトップページ周りを担当しています。

-1番ユーザーの目に触れる場所ですね。

そうですね。責任の大きい仕事ですがその分やりがいもあるので、リニューアルできてよかったと思ってもらえるよう引き続きがんばりたいです。
 

 

フリーランスとして活躍し続けたいなら、クライアントの予想を上回る成果を

-フリーランスに転向されてから1年以上経ちましたが、会社員時代と比較して大きく変わったところはありますか。


仕事をする時間が短くなり、自分の時間を持てるようになりましたね。収入も上がりましたし、子育てに理解のある会社なので、子どもが熱を出したときには後ろめたさを感じることなく休みをとることができます。

だから、フリーランスになるときに希望していたものは全て叶っていますね。でも、心境としては企業常駐という形で働いているので、会社員時代とあまり変化がないんです。3ヶ月更新で安定して収入を得ているせいか、危機感があまり持てなくて。

-それは、上田さんにとって良くないことなのでしょうか?

見方によっては良いことだと思うのですが、自分としてはそうとも言い切れなくて。フリーランスはもっと危機感を持って働かないとまずいと思っているんですよ。例えば、在宅フリーランスとして個人で案件を獲得していたら、ひとつの案件が終われば次の案件を獲得しないといけないので、自然と危機感が生まれるはずです。それに、僕は個人でも仕事を請け負っていますが、個人で受注した仕事って立ち消えになってしまうものが少なくないんですよ。在宅フリーランス1本で生活していくとしたら、今の心境では到底いられないと思います。

だから今は、今後も末永くフリーランスとして働いていくために、企業に常駐して働きながら実績を積む時期だと思っています。また、人との繋がりを作る努力もしていますね。個人で請け負っている仕事は、参画先企業や前職のスタッフから依頼されたものもあります。フリーランスとしてやっていくなら、そうやって横の繋がりを作っていくのは絶対に必要だと思っています。

-ありがとうございました。それでは最後に、これからフリーランスになろうと考えている方に向けて、アドバイスをお願いいたします。

フリーランスになると自分でやったことの全責任を自分で負わなければならないので、クライアントの予想の一歩上を行くような成果物を作れるようになったほうがいいと思います。与えられた仕事をこなしているだけでは、いつか仕事はなくなってしまうのではないかと僕は思っています。でも、逆に言うとチャレンジ精神旺盛な人や、どんどん自分の考えで動いていきたいという人にとって、フリーランスという働き方は合っていると思うんですよ。

主体性のある人であれば、フリーランスという働き方は時間の自由も増えるので気持ち的に楽になる場合も多いと思います。自由と責任はセットなので、そのバランスをしっかり取ることを念頭に置けるのであれば、フリーランス転向はこれからの人生のプラスに働くのではないでしょうか。

 

UIデザイナー案件を提案してもらう