正社員に与えられる雇用の安定は、心の安定にはならなかった

37歳フロントエンドエンジニア。多数の業界を経験してたどり着いた、常駐型フリーランスという働き方

37歳フロントエンドエンジニア。多数の業界を経験してたどり着いた、常駐型フリーランスという働き方

【PROFILE】名前:佐藤 源太 (さとう げんた) さん

  • 職業:フロントエンドエンジニア
  • フリーランス歴:約3年半
  • 年齢:37
  • 性別:男性

大学卒業後、建設会社での勤務を経て、未経験でWeb業界への転職を決意した佐藤さん。最初の転職先でフロントエンドの技術を身に付けた後も、バックエンドやWebデザイン領域のスキルを磨くためにさまざまな企業を渡り歩いてきた佐藤さんが、最終的に企業常駐型フリーランスという働き方を選んだ理由とは?

さまざまな業界・職種を経験してきた佐藤さんだからこそ語ることができる、会社員とフリーランスの違いについても詳しくお話を伺った。

※この記事は2016年7月時点の内容です

佐藤 源太(さとう げんた)さん

フリーランス フロントエンドエンジニア 佐藤源太さんの経歴

2001年3月に日本大学経済学部を卒業後、建設会社に営業事務として入社。約3年勤務した後、未経験でWeb制作会社にアルバイトとして採用される。コーディングをはじめとしたフロントエンドの基礎を身に付けた後、バックエンド専門のシステム開発会社や東証一部上場の印刷会社など、さまざまな企業を経験。2013年1月より、フリーランスのフロントエンドエンジニアとしてWeb制作会社のプロジェクトに参画している。

全くの異業種から、未経験でアルバイトとしてWeb業界へ転職

-大学卒業後の就職先は、Web業界ではなかったそうですね。新卒時はエンジニアになりたいといった思いはなかったのでしょうか。

当時はエンジニアになることを考えていなかったどころか、そんな職業があることすら知りませんでした。僕が大学を卒業した2001年当時は、ちょうどインターネットが普及し始めた頃だったんですよ。

新卒で入社したのは建設会社で、営業事務として約3年勤めたあとに、アルバイトとしてWeb制作会社に入ったのが始まりですね。

-アルバイトからのスタートだったんですね。なぜ、そこまでしてWeb制作会社に入ろうと思ったのですか?

当時勤めていた会社は、毎日17時半くらいには退社できて給料も悪くなくて、かなりのホワイト企業だったのですが、もう、とにかく暇で…(笑)。それが僕には耐えられなかったんです。働いていても自分が社会に何かを残せているという実感を持てなくて。今思い返すと、何かにがむしゃらになって取り組んだり、学んだりすることに飢えていたんだと思いますね。それで転職しようと思いました。

-転職先はどうやって決めたのでしょうか?

たまたま本屋で求人情報誌を見ていたら「Webデザイナー」っていう文字が目に入ってきて、「お、なんかかっこよさそうだ」と思って(笑)。当時はデザイナーっていう職種に漠然と憧れていたんですよ。あと、会社の業務でエクセルを使うようになったのをきっかけに、パソコンを使った仕事がしたいなと思うようになっていました。

それで、イーラーニング形式のWeb教室に3ヶ月間通った後、最初のWeb制作会社にアルバイトとして入社しました。

-学校に通われたんですね。

もともと未経験OKの求人しか見ていませんでしたが、完全な未経験はさすがにまずいと思って。でも、半年学ぶより現場で1ヶ月働いた方がいいっていうのは本当で、学校で学んだことは業務ではあまり役に立たなかったですね。当時の上司にコーディングを教わり、作ったものに細かくレビューをもらいながら業務を覚えていきました。最初はサイトの更新作業のみを行っていましたが、徐々にページの作成なども行えるようになり、入社して半年後には正社員になりました。

できないことを穴埋めするように、さまざまな企業を渡り歩いた数年間

-約2年半勤めた後、今度はバックエンドのシステム開発会社に転職されていますね。これはどういった経緯で入社されたのでしょうか。

前職の制作会社で規模の大きなFlashゲーム開発に携わったときに、バックエンドエンジニアの方とやりとりをすることがあったんです。そのとき、同じゲームを作っているのに自分はフロントのことしか知らないんだなっていうのに気づいて、それがとてももどかしかったんですよ。

Web制作の仕事に携わる上で、バックエンドの領域も含めて広く知識を身に付けておきたかったんです。そのためには現場で働くのが1番早いだろうと思って。

-せっかく業務に慣れてきていたところに、別の領域に挑戦するのは勇気がいりませんでしたか?

うーん、知らないことがある方が嫌だったんですよ。Web制作の全体を把握しておきたいという気持ちが強かったんです。当時は今ほど業務が分業化されていなくて、スペシャリストよりゼネラリストになろうと考えていました。

-バックエンド開発の経験はない状態で転職されたんですよね。転職後はどんな仕事を担当したのでしょうか。

主に担当したのは設計部分ですね。実際にソースを書くのはプログラマーが担当して、僕は設計とテストをメインでやっていました。でも、デバッグも自分で行っていたので、設計メインとはいえ、PHPを書かなければならない環境でした。ですから結果的にプログラミングスキルもあがりましたね。

ただ、ここは労働環境があまりにもきつくて…。毎日終電で帰って、休日も出勤するような状態でした。ひとつの案件が炎上すると、その鎮火のためにほかのチームに人員の要請をして、そうしたら当初は問題なかった案件への対応が手薄になってまた炎上して…という悪循環でした。これは身体がもたないと思い、1年半で退職しました。

-次は、印刷会社に就職されていますね。こちらにはどの職種で入社したのですか?

Webデザイナーです。先ほどWeb制作の全体を知りたいと話しましたが、全体を見て自分のスキルを平均化させていきたいと思ったとき、デザインの能力が足りていないなと思ったんです。デザインスキルを磨きたい、だったら今まで通りのやり方で、現場に入るのが1番近道だと思いました。

ここでは、さまざまな企業のコーポレイトサイトのデザインを担当させてもらいました。

-こちらは1年半で退社されていますが、どういった理由からでしょうか。

東証一部上場していた企業だったので、この先も安定的に働けるというのはあったんですが、給料が安くて。この頃、結婚して子どもが生まれたこともあって、ここに勤め続けていては家族を養っていけないと思いました。

あと、これは後々フリーランスとして働くきっかけにもなったのですが、「安定」がほしくて正社員として勤めていたのですが、それが元で自分自身が縛られることがすごく嫌だったんです。

例えば当時、都市部から少し離れた場所にマンションを買おうと計画していたのですが、「交通費がかかる」という理由で会社からチクチクと文句を言われてしまったんです。自分は会社のためにマンションを買うことも許されないのかと愕然としましたね。

いわゆる昔ながらの日本企業で年功序列制でしたし、がんばっていいものを作ったとしてもあまり評価してもらえないことも不満でした。

それで、そのときはとにかく家族を養うために稼がなきゃと思って、これまでとは全く違う営業の仕事に就きました。一般家庭向け通信サービスの契約を取ってくる、いわゆる訪問販売のような営業です。

―本当にまったくの異業種ですね…!でも、訪問営業は体力的にも精神的にも大変だったのではないでしょうか。

確かにハードでした。でも、前職のがんばっても評価されない体制の方が僕にはストレスが強かったです。結果を出せればその分給料がアップする仕組みで、優秀な先輩の中には月100万以上稼いでいる人もいたので、自分も結果を出せばそうなれるんだと考えると前向きに取り組むことができました。入社して半年くらいは全然契約が取れなかったのですが、10ヶ月が経った頃、社内成績ランキングで部門2位を取ることができてうれしかったですね。

この会社は入社1年ちょっとで退社してしまいましたが、このときの営業経験を通して、僕は自分の取り組み次第で結果を変えていけるものへの努力は惜しまないという、自身の性格に気づくことができました。

―営業の仕事をやめた後は、Web制作の現場に戻ってきたのですか?

そうですね。ブランクがあったので派遣でWebデザインの仕事を半年して、その後の紹介予定派遣の仕事ではWebサイトだけじゃなく、アプリやプロダクトのデザインまで幅広い仕事に携わりました。

雇用形態へのこだわりはなく、偶然たどり着いたフリーランスという働き方

―さまざまな企業・職種を渡り歩くなかで、なぜフリーランスになろうと思ったのでしょうか。

フリーランスになろうと思ったことは1度もなかったんですよ。エンジニア向けのサイトを閲覧していたら、報酬の高いプロジェクトの募集があって。それがたまたまレバテッククリエイターが出していた業務委託の案件だったんです。作業内容は今まで経験してきたことと変わらないのに、契約形態が違うだけでこんなに報酬が違うのかと驚きました。

その案件をきっかけにレバテッククリエイターに登録して、提案してもらったWeb制作会社のプロジェクトに2013年から現在も参画しています。

―それでは、業務委託の案件を引き受ける=フリーランスになるという意識はなかったとうことですか?

そうですね。これまで何度も転職は経験していましたし、そもそも契約形態へのこだわりもなかったです。ただ、同じWeb制作の仕事をするなら、できるだけ報酬が高い仕事をしたいという思いが常にありました。

―ご家族の方は、フリーランスになることに対して不安に思ったり反対されたりすることはなかったですか?

妻もこれまでの僕の働き方を見てきているので(笑)、反対するようなことはなかったですね。税金や保険料は確かに会社勤めしていた頃よりも高くなりましたけど、それでもフリーランスとして働いたほうが月々の収入は高かったので。実際、フリーランスといっても安定しているプロジェクトに参画してますし、確定申告が必要なこと以外はあまり変わらない、くらいの感覚でいます。

-レバテックで案件を探す際には、どのような条件で探されたのでしょうか。

1番重視していたのは単価の高さだったんですけど(笑)、この頃から今後はフロントエンドエンジニア1本で働いていこうと思い始めていたので、フロントエンド案件を希望しました。Webデザインからフロントエンド、バックエンドまで幅広く経験してきて、自分が1番得意だと思ったのがフロントまわりだったんです。今まで培ったスキルがフルで活かせるし、コーディングは効率を極めれば作業がすごく早くなるので、性分に合っていたんですよね。

業界の流れとしても、分業化して案件を回していくことの方が主流になっていたので、そろそろ自分のメインスキルを集中して伸ばしたいと思いました。

フリーランスになって感じたのは、企業と対等な立場で働くことができる喜び

-実際にフリーランスとして働いてみて、よかったと感じることはありますか。

フリーランスになると、ひとりの人間がひとつの企業と対等な立場で契約ができます。その対等な関係性のおかげで、僕は働くことへのストレスを感じなくなりました。

会社員時代は、安定した給料と引き換えに何かを犠牲にしているような感覚があったんですよ。さっきのマンションの話じゃないですけど、自分が安定的な生活を会社に求める代わりに、会社の言うことを聞かなきゃいけないという意識にとらわれてしまって、それがとても息苦しかったんです。

業務委託の場合、企業はスキルが見合わない場合はもちろん、予算の都合や方針の変更などに応じて契約を更新するかどうかを決められるので、更新されるということは支払う単価に値する価値を企業に提供できているってことですよね。だから堂々としていられます。

-なるほど…。でも、雇用の不安定性は多くの人が心配するところでもあります。

そこなんですよね。今、正社員として働いている人たちの中で、正社員でいること自体が安定だと考えている人はとても多いと思います。でも、安定は与えてもらうものではなく、自分の中に作り上げていくべきものだと思うんですよ。自分自身の技術を磨いてスキルを身に付けることこそが、結果的には収入を安定させることにも繋がると思っています。

この考え方はもしかしたらあまり一般的ではないかもしれないですが、15年間いろんな企業・職種を経験したからこそ気づけたことですね。

-ありがとうございました。それでは最後に、これからフリーランスになろうか迷っている方に向けてアドバイスがあればお願いします。

フリーランスというと、企業に常駐するのではなく在宅で作業する働き方を想像する方も多いと思いますが、在宅については個人的には正直どうかな?と思う部分があります。

信頼できる人脈をすでに持っていたり、高いスキルを身に付けていたりする人なら在宅型で働くのもいいと思います。でも、ほとんどの場合、特にかけだしのフリーランスの場合は、個人で営業して獲得できる案件は単価が安かったり、業務がおもしろくなかったりして苦しんでいる人も多いのではないでしょうか。なので、僕としてはまずは企業に常駐する形のフリーランスになることをおすすめしますね。

企業常駐型だと規模の大きいWebサイト制作のフロント部分をすべてまかせてもらえる場合もあるので、業務そのものが楽しいんですよ。その上、参画する企業はエージェントに探してもらえるので自分で営業する必要がありません。

また、自分が提供する業務に見合った報酬がもらえるので、モチベーションも上がると思います。少なくとも僕は、フリーランスとして働き出してから仕事に行くのを憂鬱に感じることがなくなりました。

もし、僕と同じような感覚の方がいれば、フリーランスとして働くほうが向いているのかもしれないですね。

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