フリーランスになって得られたのは、正社員のときよりも高い収入と自身のスキルへの自信

会社の合併を機にフリーランスの道へ。正社員時代に培った技術を武器に、企業から引く手あまたの存在に

永倉豪太

プロフィール

名前:永倉豪太(ながくらごうた)さん
職業:フロントエンドエンジニア
フリーランス歴:4年
年齢:30
性別:男性

大学卒業後、新卒でコンシューマゲームやソーシャルゲーム開発を行うゲーム会社に入社した永倉豪太さん。約3年間勤めた頃、会社が吸収合併されることが決まったのをきっかけにフリーランスになることを決意したという。

当初はフリーランスという働き方に大きな不安を抱いていたという永倉さんが、フリーランスとして自信を持って働けるようになった理由とは?現在は企業常駐案件のほか、個人でも案件を受注している永倉さんの、フリーランスクリエイターとして働く上での将来の見据え方についてもお話も伺った。

※この記事は2016年7月時点の内容です
 

永倉 豪太(ながくら ごうた)さん

フリーランス フロントエンドエンジニア 永倉豪太さんの経歴

美術大学の情報デザイン学科で、ゲームデザインを学ぶ。新卒で入社したゲーム会社では、ソーシャルゲームやデジタルサイネージなどのFlash開発を主に担当。2012年、在籍していた会社が吸収合併されることが決まったのをきっかけに、フリーランスになることを決意。現在はソーシャルゲーム開発会社にて、企業常駐型フリーランスとして活躍している。

約3年勤務したゲーム会社が吸収合併されることに。収入に不安もあったことから、フリーランスになることを決意

-フリーランスになる前は、新卒で入社されたゲーム会社に正社員として在籍されていたんですよね。

はい。大学卒業後は約3年間、コンシューマゲームやソーシャルゲームの開発を行う会社に勤務していました。大学でもゲーム系のデザインを学んでいて、授業で少しだけ習ったFlashが面白かったんです。だから、授業をきっかけに自分でも勉強を続けながらFlashを使った自作ゲームを作るようになり、それをきっかけにFlasherとして最初のゲーム会社に入社しました。

-もともとゲーム業界に進むことを志していたのでしょうか。

ゲームをするのは好きでしたが、ゲーム業界で働きたいと思っていたわけではないです。大学では情報デザイン学科というところに在籍していたのですが、本当にやりたかったのは油絵や日本画といった美術だったんです。でも入れなくて、当時は美術科の同級生たちがとてもうらやましかったですね。

結果的に授業をきっかけに覚えたFlashが現在のメインスキルになっているので、今となってはゲームデザインを学べたことはよかったと思っています。

-フリーランスとして独立しようと思ったきっかけは何だったのでしょう。

当時在籍していた会社が、吸収合併されることになったんです。そのタイミングで、レバテック経由で企業常駐型フリーランスとして働いている知人に、今のスキルがあればフリーランスになった方が収入がアップするよと言われたのがきっかけです。

-永倉さんご自身で検討されていたわけではなかったんですね。

そうですね。吸収合併されてもクビになるわけではなかったので、知人からの紹介がなかったら正社員のまま働いていたかもしれないですね。

-正社員のまま働くのと、フリーランスになるのとでは収入は大きく違ったのでしょうか。

正社員時代は給料がすごく少なくて、働きながらも将来がとても不安だったんです。会社の業績を見ても、将来昇給していくビジョンも持てなくて。だったら、自分もフリーランスに挑戦してみようと思ってレバテッククリエイターに登録しました。

-フリーランスになるにあたって、不安はありましたか。

もちろん不安でした。今まで正社員としてしか働いたことがなかったので、フリーランスになってやっていけるのか自信がありませんでした。

ちゃんと参画先が決まるのか、決まったとしても3ヶ月後の更新ですぐ切られてしまうんじゃないかとか、経験のないことだったので不安に思うことは多かったです。でも、当時の会社でそのまま働いていても先が明るくないことはわかっていたので、収入が上がる可能性があるのならやってみようと思ったんです。

思い切って選択したフリーランスの道は、収入アップと自身のスキルへの自信に繋がった

-実際にレバテックのサービスを利用してみて、どのような感想を持ちましたか。

レバテックの事業内容やサービスをよく知らない状態でカウンセリングを受けたので、正直なところレバテックに頼って自分はちゃんと生活していけるのか、最初は半信半疑でした。

でも、結果的にレバテックは他社と比べてもたくさんの案件を持っていることがわかりましたし、参画先を変える際も複数の案件を提案してもらえたので、わりと早い段階で不安は解消されました。だから今はもう、案件の提案はもちろん、企業側とのやりとりについても安心しておまかせしています。

ただ、今振り返ってみると自分はレバテックに登録してよかったなと思うのですが、レバテックのようなエージェントに登録して、正社員からフリーランスに転向するのはかなりハードルが高いとも感じています。僕も当時勤めていた会社の吸収合併の話がなければ、何かのきっかけでカウンセリングに来たとしても、正社員として働くことを選んだかもしれません。

たとえば会社をクビになったとか、そういう劇的な何かが起これば一歩踏み出すことができると思うんですけど、普通に会社員として働いている人にとっては、会社を辞めてフリーランスになるのには相当な覚悟がいるんじゃないかなと思います。

-なるほど。フリーランスになるハードルを下げるために、あったらいいと思うサービスはありますか。

そうですね。たとえば初めてフリーランスとして働こうか検討している人に対して、参画が決定する前に、実際に現場で作業体験ができるような機会があればもっと決断しやすくなるかなという気はします。どんな現場に参画するのか自分の目で見ることで安心感を持てますし、その上で単価はどのくらいになるかがわかると、もっと挑戦したいと思う人が増えるんじゃないでしょうか。

-案件を探す際は、どのような条件を提示されたのでしょうか。

技術的な部分で言うと、当時メインで使えたのがFlashとCreateJSだったので、それらの案件に絞って提案してもらいました。ゲーム会社にこだわっていたわけではないのですが、最終的に参画先に決まったのはソーシャルゲーム開発を行っている企業でした。2012年8月から約2年間参画しました。

-参画先の決め手は何だったのでしょう。

単価の高さですね。フリーランスになることを決意した最大の動機は収入アップだったので、オファーをいくつかいただいた中で、1番単価の高い企業を選びました。

-最初の参画先ではどのようなプロジェクトを担当されましたか。

メインはCreateJSを使ったアニメーション制作ですね。作業面では、特に正社員時代と大きな差を感じることはありませんでした。参画先には自分と同じ業務委託の人がたくさんいたので、あまり正社員や業務委託といった契約形態を意識することなく作業を行うことができたのかもしれないです。

-約2年後に参画先企業を変更したのは、どういった経緯からでしょうか。

企業側からの契約終了通知があったからです。当時、長く一緒に作業をしていた人が多く辞めていったり、新しく入った社員さんとちょっと合わなかったりして、モチベーションも下がっていたので、自分としてもタイミングはよかったと思っています。その上、ちょうどその頃足を骨折して入院をし、退院後も自宅作業をしていた時期だったんです。これらの状況が重なったので契約を終了して、次の参画先を探すことになりました。

-大変な時期だったんですね。

そうですね。次の参画先を決めるための商談にも松葉杖をついていきました(苦笑)。でも、参画先はすぐに決まったのでよかったです。

-次の参画先ではどのような経験をされたのでしょうか。

大手インターネット・サービス会社のグループ会社で、最初はAIRを使ったチャットアプリの開発をまかされていたのですが、自分には合わなくて悩んでいたんです。たまたま、以前の参画先で一緒に働いていた方が社員として勤務していたので、相談したところゲーム事業部に移らせてもらえることになりました。その後はずっとFlasherとして働きました。

ここでは新規ゲームの立ち上げに参加したのですが、大規模プロジェクトの進め方を現場で学ぶことができたので、とてもいい経験になりました。ただ、もともと僕が参画した3ヶ月後にリリースする予定だったものが、伸びに伸びて結局1年半かかってしまったんです。幅広いジャンルのゲーム開発を手がけている企業だったので、もっといろいろな案件に携わりたいという思いがありました。

それで、リリースしてから1ヶ月ほどランニングを見守ったあと、2016年2月から現在のソーシャルゲーム開発会社に常駐しています。

生活への不安はなくなり、充実した日々を送る現在。企業常駐案件だけでなく、個人でも案件受注を行うように

-2012年に初めてフリーランスとして常駐されて、現在3社目なのですね。当初はやっていけるか不安だったとのことですが、いつ頃からその不安を感じなくなりましたか?

企業常駐型フリーランスとして働き始めて、2回目の更新をした頃、つまり半年経った頃ですね。この頃から、技術的にも作業を滞りなく進めていけそうだという自信を持てるようになりましたし、自分より年齢が上でも自分と同程度の技術レベルの人もいたので、周囲の状況を見て大丈夫だろうと思えるようになりました。

働く前はフリーランスに対して勝手なイメージで不安を抱いていましたが、やはり実際に働いてみないとわからないことは多いですね。

-現在の参画先企業では、どのような作業を担当されているのですか?

現在はFlashをはじめ、After EffectsやCocos Builder、Cocos Studioを使って、アニメーション全般を担当しています。After Effectsは今の企業に参画してから使うようになったので、業務を行いながら学ばせてもらっています。

あと、今は企業常駐の業務委託以外にも、個人受託の案件も受けていますね。

-週5日、企業に常駐しながら個人でも案件受注されているんですね…!案件獲得のための営業はどのようにして行っているのでしょうか。

参画先で社内営業を行ったり、ゲーム会社に直接メールを送って売り込みをしたりしています。そうやって得た案件で、約1年間継続的に受注しているものもありますよ。

-すごい行動力ですね。でも、フリーランスになって収入も大幅にアップしたのに個人でも案件を受注するのはなぜですか?体力的にもキツイ部分はあるのではないでしょうか。

確かに楽ではないですが、今は結婚していて養う家族がいるので、より高い収入を得たいという気持ちがあります。また、常駐案件は単価が高い分、案件によっては年齢制限がある場合もあるので、若いうちに太く稼いでおきたいとも思っています。

この先、IT業界における働き方がどう変わっていくのかはわかりませんが、もしフリーランスとしての需要がなくなったとしても、また別のことに挑戦できるだけの蓄えをもっておきたいんです。

でも、これはあくまでも「もしも」のときに備えたものであって、できれば40代50代になってもフリーランスクリエイターとして働き続けたいと思っています。年を重ねても企業に求められる人材であるために、新しい技術に対してもアンテナを張り、技術面だけでなくアニメーションの表現力なども磨いていきたいですね。

収入アップがフリーランスになることの最大のメリット。働いた分だけ報酬が上がるためモチベーションも保ちやすい

-フリーランスになってどんなことにメリットを感じていますか?

作業に対して適性な報酬をもらえるようになり、以前よりも収入が上がったことですね。これはとても大きいです。

デメリットとしては、会社員時代は企業側で行ってくれていた、確定申告をはじめとした手続きを自分でしなければいけないことが挙げられますが、収入アップと天秤にかけたらほとんどデメリットには感じないです。

フリーランスクリエイターの場合、帳簿さえつけていれば確定申告もそこまで手間ではないですし、申告自体は半日程度で終わると思います。

また、単純に単価が高いだけでなく、時間単位で報酬が決まるのもいい点ですね。正社員時代はみなし残業制だったので、いくら残業しても給料は上がりませんでしたし、現在正社員の方の中にも、同じような条件で働いている人は多いのではないでしょうか。

フリーランスの場合、稼働が高くなればなるほど収入が上がるので、僕の場合は忙しくなるのはかえってうれしいくらいです(笑)。

-ありがとうございました。それでは最後に、これからフリーランスになることを検討している方に向けて、アドバイスがあればお願いします。

1番に伝えたいのは、多くの方が気にしているほど、参画先が見つからなくて困ることはないということです。企業常駐型のフリーランスって、いわゆる個人で営業して案件を獲得するフリーランスとは違います。

エージェントに参画先を斡旋してもらえるので、働き口は見つかりやすい上、正社員のときよりも収入は上がる場合が多いです。だから、そのメリットをしっかり認識できれば、今フリーランスになろうか迷っている人も挑戦しやすいのではないでしょうか。

自分のスキルに自信がない場合は、現在自分の技術にどれくらいの価値があるのかを知るためにヒアリングを受けてみるのもありだと思います。僕は3年間正社員としての経験があり、ある程度スキルも身につけられていたのでフリーランスになるタイミングとしてはよかったと思います。自分の武器だと言えるようなメインスキルを持っているなら、フリーランスという選択をすることを怖がらないでほしいですね。

また、確かにフリーランスとして企業に参画していると、企業都合で契約を打ち切られることもあります。でも、案件はほかにもたくさんあるのだから「ここで契約を切られたらおしまいだ」なんて悲観的な考えを持つ必要はないんです。

自分のスキルを過小評価しすぎずに、一歩踏み出してみてほしいですね。

 

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