4年間の漫画家アシスタントを経て、イラストレーターとしての道を歩む

27歳の若手イラストレーターが、フリーランスとしてゲーム会社に常駐する理由

佐々木 翔太(仮名)

プロフィール

名前:佐々木 翔太(仮名)(ササキ ショウタ)さん
職業:イラストレーター
フリーランス歴:約7年
年齢:27
性別:男性

子どもの頃からイラストレーターに憧れ、専門学校を卒業してからは漫画家のアシスタントとして働いてきた佐々木翔太さん(仮名)。4年間のアシスタント生活を経て、フリーランスイラストレーターとしてゲーム会社に参画するようになった経緯、初めての企業常駐という働き方を通して感じたこと、今後の目標などについてお話を伺った。
 
※この記事は2016年10月時点の内容です

佐々木 翔太(ささき しょうた)さん(仮名)

フリーランス イラストレーター 佐々木翔太さん(仮名)の経歴

専門学校卒業後、漫画家のアシスタントを掛け持ちしながら自身の創作活動を行う。2013年、カードゲームイラストの作画を担当したのをきっかけに、イラストレーターとしての道を歩むことを決意。2015年10月より、ソーシャルゲームアプリ内の4コマ漫画コンテンツの制作案件に参画し、ラフ画~着彩までを一貫して担当している。

専門学校卒業後、漫画家アシスタントとして働いた4年間

-佐々木さんは今27歳ですが、いつからフリーランスとして働いているのでしょうか?

フリーランスと言っていいかわからないですが、専門学校を卒業した20歳のときから約4年間は漫画家のアシスタントとして働いていました。その後、ゲーム会社に業務委託のイラストレーターとして参画し始めたので、全部合わせると約7年前からですね。一度も会社員として働いたことはないんですよ。

-もともとは漫画家を目指されていたのでしょうか?

いえ、小中学生の頃からイラストレーターになることが僕の夢でした。当時第一線で活躍されていたイラストレーターの方々の作品を見て、すごくかっこいいなと思って、自分もこんなイラストを描けるようになりたいと考えるようになりました。専門学校はゲームキャラクター学科だったのですが、その学校を選んだのもイラストレーターになりたかったからです。
 
もともとは専門学校を卒業したら企業に就職しようと思っていて、就職活動ではゲーム会社を何社か受けました。でも、僕が就職活動をしていた2008年頃はソーシャルゲームよりもコンシューマゲームの方がまだ主流で、コンシューマゲームは3Dで制作することがほとんどだったんです。僕はイラストが描きたかったので、3D制作だと自分のやりたいこととは違うと感じて、そこまで熱心に就職活動に取り組みませんでした。
 
それで、イラストを仕事にするにはどうしたらいいだろうと考えたときに、イラストだけじゃなくて漫画が描けたら潰しが利くんじゃないかと思ったんです。イラストも漫画もそれだけで生活していくのは難しいけど、両方できればどちらかしかできない人よりも仕事を得るチャンスは多いのではないかと考え、漫画家のアシスタントを始めることにしました。


-漫画家アシスタントの仕事はどのようにして見つけたのでしょうか?

漫画家アシスタントを募集する有名なネット掲示板もあるのですが、僕の場合は当時流行していたmixiですね。アシスタント募集のコミュニティがあって、そこからメッセージやイラストを送って採用してもらった感じですね。
 
月刊連載をしている作家さん4~5人のアシスタントを掛け持ちで担当していて、1本あたり月3、4日泊まり込みで作業をするんです。アシスタントをしながら自分でも作品を描いて出版社に持ち込みをしたり、漫画賞に応募したりしていました。早い段階で担当編集者さんがついてくださり、小さな賞をもらったこともありましたが、そこから先に進むのが難しくて。
 
1~2年目はそれでも精力的に漫画を描いていたのですが、3~4年目になるとだんだんモチベーションも下がってきて、「自分は何がやりたかったんだろう」と悩むようになっていました。
 
そんな僕の状況を見かねたのか、当時アシスタントをしていた漫画家の先生が、単発のトレーディングカードゲームのイラストを描く仕事を紹介してくれたんです。アシスタントとして背景やモブキャラを描くのではなく、1枚のイラストのラフから仕上げまでを自分で担当する仕事でした。その仕事を受けてみて、「自分のやりたかったことはコレだ!」って思えたんです。1枚1枚のイラストにしっかり描き込みをして仕上げていくのが本当に楽しくて、これを仕事にして食べていけたら最高だな、やっぱり自分はイラストを描くのが好きなんだって再確認したというか。
 
先生は、仕事を紹介する前から僕が本当にやりたいことが何かわかっていたのかもしれないですね。だから、自分の本心に気づかせてくれた先生には本当に感謝しています。
 
このときの仕事をきっかけに、「自分のやりたいイラストの仕事をするためにはこのままの状態ではダメだ」と思い、2013年の終わりに漫画家のアシスタントを辞めました。
 

業務委託として企業に常駐して初めて経験した「企業で働く」ということ

-漫画家アシスタントを辞めた後は、どのようにして案件を受注したのでしょうか。

2013年頃になってくると、コンシューマゲームよりもソーシャルゲームがメジャー化して一種のバブルが起こっていたので、ゲームイラストを描く仕事はきっと多くあるだろうと思い、ゲーム会社でイラストレーターを募集していないかネットで検索しました。
 
契約形態にこだわりはなくて、正社員でも業務委託でもよかったのですが、検索して最初に出てきたのが有名ソーシャルゲームを手がける大手ゲーム会社のイラスト案件で、応募したところすぐに参画が決まりました。

-1社目で決まったんですか?

そうですね。運がよかったと思います。ちょうどその企業はゲームアプリ内で4コマ漫画を更新していて、制作担当者が抜けたタイミングで僕の応募があったようです。

-ちょうど今までの経験が活かせる案件だったんですね。

そうですね。ただ、「イラストレーターになりたい!」と思って案件を探していたのでちょっと迷うところはありました。制作は分業制になっていて、僕が任せてもらうのは主に着彩と仕上げだったので、自分でイラストを描く案件ではなかったんです。でも、ゲーム制作の現場に入れることや今までのスキルを活かせること、この経験がこの先のキャリアにもプラスになっていきそうなことを考えて、参画を決めました。


-今までは漫画家のアシスタントだったり、自宅でのカードゲームイラストの制作だったりで、企業に常駐するかたちで働くのは初めてだったと思うのですが、働いてみていかがでしたか。

「企業で働く」ということが初めてだったので、最初はとても緊張しました。でも実際に常駐してみると、僕の参画していた企業に限ることかもしれませんが、自分では到底買うことができない高価なツールを導入してくれたり、PCの調子が悪いときにはすぐ専門のスタッフが駆けつけて修理してくれたりと、その恵まれた環境に驚きました。今までは何か問題が起きても自分ひとりで解決しなければならなかったのが、周りに相談できる人がたくさんいてありがたかったですね。
 
あとは、企業常駐という形で参画すると周囲の人を協力しながら制作を進めることが不可欠なので、スケジュール調整や他部署の人との連携という部分でも学ぶことが多くありました。だから、フリーランスとして企業で働くという経験ができてよかったと思いますね。
 

レバテックに登録し、かねてより希望していた“イラストを描く”案件に参画

-最初の参画先で働き始めて1年ちょっと経った頃にレバテックにご登録くださったそうですが、経緯を教えていただけますか。

とても恵まれた環境でいい経験を積ませてもらっていたんですが、着彩や仕上げの作業がメインだったので、そろそろ自分でイラストを描ける案件に参画したいという気持ちがあり、別の案件を探すことにしました。
 
レバテックのことはネット検索で見かけた広告で知りました。僕自身はレバテックのようなエージェントが存在することを今まで知らなかったのですが、当時同じチームで働いていた派遣社員の方に、フリーランス向けのエージェントサービスについて教えてもらったのがきっかけです。

-案件はどのような条件で探されたのでしょうか。

作業内容を重視していたので、自分でラフ画から着彩までを担当できること、できれば得意ジャンルである萌系女の子のイラストが描ける案件を希望しました。
 
イラストのジャンルまで絞ってしまうと案件数はかなり少なくなると思ったのですが、条件に合う案件を複数提案してもらえ、その内の1社に参画が決まり、現在も常駐しています。

-今回は希望通りの作業を担当できているのでしょうか。

はい、結果的には希望に近い作業を担当できています。参画が決まった当初は、美少女系ゲームのイラストをラフ画から着彩まで一貫して任せてもらえる、という話だったのですが、参画して間もなく会社の方針が変わって分業制を取り入れることになったんです。だからその話を聞いて少しガッカリしていたのですが、新コンテンツとして4コマ漫画を始めたいので、そっちを担当しないかという話をいただいて。しかも今回は、ストーリーをプランナーさんに考えてもらい、作画はラフから着彩まで自分で担当できるという、自分にとって得意かつやりたいと思っていたポジションだったんです。これは絶対面白いだろうなと思い、4コマ漫画の作画を担当させてもらうことになりました。

-今は分業制で制作を進めている企業が多いので、一貫して任せてもらえるとクリエイターとしてのモチベーションも上がりますね。

そうですね。だから今は、漫画家のアシスタントを辞めた当初に思い描いていた作業内容に近い仕事をやらせてもらっています。

-参画先が決まってからも作業内容の割り振りなどで不安を感じられていたと思うのですが、そういった中でレバテックの対応として印象に残っていることはありますか。

参画が決まってからも担当営業(フォロワー)さんがついてくれていて、色々と相談に乗ってもらえたのは心強かったです。作業内容が最初に聞いていたのと違う、という状況になったときも話をしっかり聞いてもらえました。
 
「もし、どうしても分業での作業を受け入れられないということであれば、他の案件を探すお手伝いをします」とも言ってもらえたので、そういった対応をしてもらえたのはうれしかったです。僕は結構優柔不断で心配性なところがあるので、話を聞いてもらえる相手がいるのは大きかったですね。


契約形態にこだわらず「やりたいこと」にフォーカスした選択を

-佐々木さんの今後の目標を教えてください。

大きな目標としては、自分が子どもの頃に憧れたイラストレーターの方々のように、自分のイラストで勝負できるような仕事をしたいです。これは、イラストレーターとして活動している人であれば、誰もが抱いている感情だと思いますね。
 
でも、やりたいことは沢山あって、今担当させてもらっている4コマももちろんそうだし、またカードゲームのイラストや漫画も描きたいと思っています。

-それらを実現させるために、今取り組んでいることはありますか。

SNSにイラストを載せたり、漫画コンペに応募したりしています。仕事以外で自分のイラストを発信することはスキルアップにも繋がるし、それをきっかけに仕事を得られる可能性もあります。
 
あとは、普段見るアニメや漫画からもいろんな情報を得ていますね。これは、意識的に学ぼうとしてやっているというより趣味に近いですが、今流行っている作品に触れておかないと、すぐトレンドに置いて行かれてしまいます。
 
また、僕は女の子の絵を描くのは好きですが、女の子の服装のレパートリーが狭いんです。だから、買い物に出かけたときには女性向けアパレルショップに並べられている商品や、街を歩いている女性が身に付けている洋服やアクセサリーなどを見て、作品に反映させるようにしています。想像ではなくリアルを意識することで、イラストの中の女の子たちにもリアリティーが増します。
 
細かいことですが、これらを日常的に行うことで自分の作品にトレンドやリアルを取り入れることができるので、作風が古くなりません。

-ありがとうございました。それでは最後に、これからフリーランスになろうか迷っている人に向けてアドバイスをお願いします。

僕もまだ駆け出しなのでえらそうなことは言えないですが、イラストでもキャラデザでも、やりたい気持ちが強くあるなら挑戦した方がいいと思います。僕はフリーランスになりたいと思ってフリーになったのではなく、自分のやりたいことができるのがフリーランスだったのでフリーになりました。
 
契約形態にこだわるのではなく、自分のやりたいことができる環境を手に入れたいなら、フリーランスという働き方も選択肢に入れた方が可能性はぐっと広がると思います。
 
だからこそ、自分が何をやりたいか、何を大切にしているのかを明確にしておくことはとても大切です。そこさえしっかりしていれば、フリーランスに挑戦して後悔することはないんじゃないかなと個人的には考えています。
 
また、僕は自分で営業したり単価交渉をしたりするのがすごく苦手なので、僕と同じようなタイプの人はエージェントサービスを利用するのはオススメです。エージェントを使っていれば交渉事などは担当営業の方にまかせられるので、自分は制作に集中できます。フリーランスだからといって、「案件を受注できないのではないか」と不安になる必要はないと思いますね。

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